▼貧困に付け込んだ貧民支配の手法
堤未果『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命―なぜあの国にまだ希望があるのか』海鳴社、2006年4月
ようやく着手。アメリカに希望があるかどうかということよりも、貧者の貧困に付け込んだ貧民支配が印象に強く残った。
- まず、貧困の生産・再生産と差別とそれらの深刻化
- 警察や軍などの「正義」機関による日常的な暴力(と暴力への服従)。
- マスコミ統制(というより批判的ジャーナリズムの不在もしくは愚民化政治もしくは情報からの隔離)
- 自然科学の到達を無視した教育、あるいは自然科学の到達の隠蔽
- あるいは宗教・宗教組織の利用
- 貧困に付け込んだ軍への勧誘。勧誘者もまた貧者。(○○学会に似る?)
- 貧者の住環境、世帯の経済状態、将来不安、自己評価の低さなど「弱み」を組織的に把握した上での軍へ取り込み
- 軍隊内での人間の非人格化、ロボット化訓練(兵士も敵も人間ではない)
- 戦争廃人の大量輩出(の隠蔽)
- 選挙制度の徹底的な形骸化、民主主義のあからさまな破壊、それらを隠蔽するイデオロギー
読んでいると、よくもそこに住み続けていることができるものだと驚いてしまう。
アメリカの逆を
前述の諸項は読後の思いつき羅列だが、逆を挙げてみる。
- 貧困層を生産するような政策のストップ、貧困の深刻化を阻止すること
- いつでも・どごても・誰でも暴力を許さない。容認しない。
- マスコミに声を届け続けること
- 自然科学の現到達を良く学ぶ
- 宗教を自然科学と政治から切り放して捉える。自然科学や政治に関わる宗教やその団体を警戒する
- 防衛問題を含む政治全体に対する批判的態度(否定的態度ではなく)
- 貧困の社会的な根源を常に摘抉する志向を持とう
- 現代的な人権に関する知識の学習
- 戦争の阻止
- 選挙制度・政党制度に関する批判的な知識と改革運動
そしてまた拙ノート、求められる民主主義的政治能力とは──イギリス──に挙げられた諸項の体得。