▼走行中みだりに運転者に話しかけないでください

事故調の報告書を見つけられなかったので、ニュースから抜粋。

<尼崎脱線>運転士、無線に気を取られた形跡 事故調報告書 12月20日4時3分配信 毎日新聞

 乗客ら107人が死亡した兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故(05年4月)で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は20日付で「事実調査報告書」を公表し、事故の全容を明らかにした。運転士(当時23歳、死亡)が、運転ミスについて車掌から総合指令所に報告していた列車無線の交信内容に気を取られたため、ブレーキ操作が遅れ脱線に至った可能性を強く示唆した。 報告書によると事故調は、運転士が回送電車を運転し、脱線した同志社前行き快速電車の始発駅となる宝塚に到着する直前にATS(自動列車停止装置)を作動させた運転ミスを重視。運転士がこのミスを総合指令所に報告せず、快速電車として折り返す際、運転席で特殊な機械操作を行い、車掌の動向を知ろうと列車無線を傍受できるようにした形跡を発見した。

 宝塚を出発後も、運転席に流れたATSによる警告音声を無視しブレーキ操作を誤り、伊丹で72メートルオーバーラン。車内電話で車掌に過少申告を頼んだが、車内放送が必要になり中断した。間もなく電車は時速124〜125キロまで加速。転覆限界速度106キロを上回る約116キロ(制限速度は70キロ)で現場カーブに進入して脱線。ちょうどこの時、車掌から列車無線でオーバーラン報告を受けた指令員が、運転士を呼び出したが、応答はなかった。ブレーキの操作状況から居眠りを示す事実はなかった。

 事故調は宝塚のミスを考えながら伊丹のオーバーランを起こし、運転席で傍受中の列車無線に聞き耳を立て運転に集中していなかった可能性があるとみている。

毎日新聞

今朝2006年12月21日のNHKの8時前後のニュースでは「運転席で特殊な機械操作を行い、車掌の動向を知ろうと列車無線を傍受できるようにした」ということは省略されて運転席の状況が再現。自分のミスを車掌が過少に報告した後、指令が運転士に呼びかけ応答を要求したところで脱線となった。
聞かなくて良い・聞くべきではない会話を傍受したことは、運転に集中できない環境を自ら作り上げたことになるから、責めを受けざるをえないだろうが、それにしても時間の遅れなら車掌から報告を受けるだけで済みそうなものを、わざわざ運転士に呼びかける指令と乗務員とのやりとりが、テレビを視聴していて大変危険に感じられた。
運転室が折り返しで車掌室になるものであるなら、無線の傍受もとりたてて「特殊な機械操作」と複雑・秘密裏の操作というわけではあるまい。つまり運転士が車掌と指令との会話を傍受するのは日常的なことではないだろうか。

 指令「(遅れは)何分でしょうか」
 車掌「あ、1分半です。どうぞ」
 あと数秒で制限速度70キロとなる現場のカーブ。だがブレーキ操作はしていない。同50秒過ぎ、最大ブレーキをかけたが、電車は同54秒、1両目から脱線。マンションに突っ込みながら、10秒後に止まった。
 この間、指令は高見運転士を呼び続けた。「えー、それでは替わりまして、運転士応答できますか」「応答してください。どうぞ」
 傍受内容をメモしようとしたのか。高見運転士は右手袋をはずし、運転室内には赤鉛筆が転がっていた。(<尼崎脱線報告書>「焦り」まざまざ…運転席の記録 12月20日4時3分配信 毎日新聞

 高見運転士は右手袋を外した状態で、運転席から赤鉛筆が見つかったことも判明。事故調委は、交信内容などをメモしようとしたか、マニュアルを確認しようとした疑いがあるとし、事故直前に居眠りをした可能性は低いとみている。(共同通信

運転中に話しかけないで

「走行中」「運転中」「みだりに」で検索すれば、

久米南町町民バスに関する条例
2 町民バスの利用者は、事故又はその他やむを得ない場合のほか、町民バス内において、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 走行中みだりに運転者に話しかけること

仙台市高速鉄道運賃条例施行規程
第十条 旅客等は、駅構内又は列車内において、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 運転中の運転士にみだりに話しかけること

○熊野市福祉バス管理規則
第5条 バスを利用する者は、次の事項を守らなければならない。
(5) 走行中運転手に話しかけないこと。

など、話しかけるなという規定はたくさんある。鉄道運転規則・鉄道営業規則には見つけられなかったけれど。
指令が運転士に話しかけたのは危険。