あとで読んでみる

国立社会保障・人口問題研究所がサイトを更新したので見に行ったが、閲覧できるものがほとんどなくてガッカリ。
http://www.ipss.go.jp/

ディスカッションペーパーのページでいくつか後で読んでみようと思うもののメモ。
●「日本における相対的剥奪指標と貧困の実証研究」
http://www.ipss.go.jp/publication/j/DP/dp2005_07.pdf
貧困の基準をどのように設けるのが妥当なのだろうか、という問題設定から。これは読み応えありそう。例えば、都市部の低所得高齢者から公営バスの無料乗車券を取り上げてしまうことが、彼等をより貧困へと突き落とすような行為であることも「相対的剥奪指標」の内容によっては論ずることができる。

本稿は、Townsend(1979)が開発した相対的剥奪指標(Relative Deprivation Index)指標に再注目したい。相対的剥奪とは、「必要な資源の不足のために、規範的に期待されている生活様式を共有できない状態をさし示す概念である」(平岡2001, p.155)。「規範的に期待されている生活様式」とは、その人が生きる社会の慣習や通常をさしており、(……) 相対的剥奪指標の特徴は、当該社会で期待される生活行動を具体的にリストアップし、その有無を指標化している点である。換言すれば、相対的剥奪は社会のなかで比較的に低所得であるという不平等の理論で片づけられるものではなく、ある一定の生活水準以下では社会の中で「期待される生活様式」を享受できない、という絶対的な概念なのである。相対的剥奪指標は、現在の所得のみによる指標よりも生活水準に密着した指標ということができる。さらに、相対的剥奪を構築する生活行動のリストが「最低限の生活」を示すものであれば、この項目が一つでも欠けた状態は貧困と定義づけられ、また新たに貧困線(剥奪線)を設定する必要性がないのである5。このように相対的剥奪指標を持って貧困を測定することは、従来の貨幣的な貧困指標の欠点を補う意義あるプロセスである。

ここでようやく読んだ。
http://d.hatena.ne.jp/ost_heckom/20060909



社会保険料の事業主負担は本当に労働者が負担しているのか?
http://www.ipss.go.jp/publication/j/DP/dp2005_06.pdf

近年,社会保険料が引き上げられる傾向にある.我が国の社会保険制度では,賃金の一定割合を保険料とし,企業がその半分1を支払うことになっている.このような社会保険料の事業主負担分について企業側からは,労働コストを高め,国際競争力を阻害しているとの反発の声がある.しかし,本当に企業は事業主負担分の全てを負担していると言えるのか? 名目上は事業主が負担することになっている社会保険料も,賃金の引き下げというかたちで実際には労働者が負担しているということがしばしば経済学者によって言われてきた(たとえば太田, 2004).