▼格差問題を考える 〜自分の望んだ人生に挑戦できるために必要なことは何か?〜
三菱総合研究所 2006.03.28
シンクタンクの視点から 研究理事 野口和彦氏
野口っていう人を意識しているのではなく、表題が魅力的だったのでヒットしてしまいました。
所得格差
2006年2月末に、2005年度の全国で生活保護を受けている世帯数が、月平均で初めて100万世帯の大台に乗る見通しであることが明らかになった。
……
しかし、所得格差が広がっているということは、必ずしも統計的には確かなことではないのである。
……
家計調査(2人以上の世帯)によると、……むしろ格差縮小傾向にある。一方、単独世帯を含めた国民生活基礎調査になると、……所得倍率は8倍を超えている。……どちらの調査が実感にあっているかというと判断は難しい。所得格差は、現在の世帯の生活水準格差にとどまらず、教育格差を生み、世代を越えた格差をもたらす要素でもあることも考慮すべきである。
この人の、所得格差に対するスタンスはよくわからん。
将来への不安
三菱総合研究所が2005年度に実施した「豊かな社会」に関する政策創発研究アンケートでは……将来が今より幸せであろうと予想した人は1割程度しかいない。
その理由の主な内容は、以下の通りである。
- 犯罪が増え治安が悪くなる 61%
- 生活していくのに十分な収入や貯蓄が得られない 36%
- 雇用の場の確保や、適切な雇用労働関係が実現できない 31%
……親の格差が、子供にまで影響を及ぼしたり、競争社会の中で一度乗り遅れることにより差別を受けたりする不安が大きいと言える。
社会の進歩と格差の拡大
社会の進歩は、社会全体の経済力や利便性は増すが、ある指標で計った場合、個人差は大きくなるという必然性を持っている。
格差が広がるのは社会進歩の証だと。少なくとも仕方がないことなのだと。
ということは、格差が広がっているのなら社会が進歩してきているということだ。
格差が縮小してきているのなら、社会は停滞してきているということだ。
そうでしょ? そこにしか格差の原因を求めていないのだから。
そして、社会が進歩すると格差拡大は避けられず、
強者が強者であり続け、弱者が弱者であり続ける格差が生じると、その拡大は社会の衰退を招き、市民の幸せに関しても悪い影響を及ぼすことは間違いない。
すごい。間違いないっ! どうして格差が広がると社会の衰退を招くのか、そして日本はどうなのか、アジアはどうなのか、世界はどうなのか、アメリカって衰退途上って言ってしまうのか、是非聞きたいところである。
でも大丈夫?
強者が強者であり続けるということは、長期的には可能性は低い
のだが、格差についてはどうか。
なんやねん。どーやねん。
格差問題への対応:自分が望んだ人生を生きるために
ま、格差の固定も拡大も避ける必要がある、と整理したのだそうだ。あまりそうは思えないが。断言しただけではないの?
格差は発生するのは仕方がないが、発生したら拡大しないよう・固定しないようにしなければならないということは「間違いない」ことであるらしい。
そのためには、企業も社会も人を多面的に評価しろ、社会から排除される人々を作るなということらしい。そのことと格差とは別のことのようにも思えるが。
しかし、これらの格差問題の解決には、1人ひとりの価値観の確立という難しい命題が存在する。人が1つの指標にこだわる限り、その格差の拡大問題は必然的に発生する。活力があり、納得性の高い社会を構築するには、格差の問題を1つの指標だけに限定して議論することは、社会や財政の硬直化を招く恐れがある。
ちょっとわかりにくいが、要は、所得の高低だけにこだわると社会が硬直化するから、所得だけにこだわるなと。貧乏人は別のことに満足を見出せよと。そうすれば、不安や不幸な気持ちもなくなるよ。
難しいのは、結局は所得=生活・教育に収斂してしまう今の社会で、所得以外のさまざまな価値観を多様な諸個人にばらばらに「確立」させ、社会がそれを「認める」ことだと。
さすがわ三菱総合研究所。