▼人口減少を食い止めるのは子育て支援、就業支援。安心して産み・育て、うれしく成人できる社会。

経済同友会の提言
人口減少社会にどう対応するか −2050年までの日本を考える− 2006年06月30日
人口一億人時代の日本委員会 委員長 森田富治郎(第一生命保険 取締役会長)
http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2006/060630a.html

2050年までに生産年齢人口は40%も減少する

そして、年齢構成は激しく高齢者に偏るという。その結果日本は貧乏な国になり、以下のような諸問題が発生する。

①人口減少に連動した経済力低下
②食料・エネルギー等の輸入購買力の低下

    • 資源も食料も自給できていないのに貧乏になったらどうするんや!?
    • 林業はますます衰退し国土は荒廃する

社会保障、防衛、治安、国土保全、教育等社会インフラのための支出における問題
④国・地方の財政破綻
⑤基礎的社会サービス(上下水道・学校・消防・医療等)の提供困難な地域の拡大

    • 田舎で火事が起こっても誰も消せないぞ

⑥社会の活力の大幅な低下
⑦世界における存在感の大幅な低下

    • インドに負けちゃう

これはそうかなぁとも思う。


人口減少対策

  1. 国・社会全般にわたる生産性の向上とそのための諸々の条件整備
  2. 国力を支える重要な要素としての国際戦略
  3. 国と社会を支える基盤の整備・強化

(1)労働力活用、労働生産性向上による経済力低下の防止
(2)食料・エネルギー等輸入購買力の問題
(3)社会保障、防衛、治安、国土保全、教育等社会インフラのための支出に関する問題
(4)財政再建
(5)世界における存在感(総合国力)の維持・向上
(6)その他社会の活力と質を向上させるための方策
(7)地域格差への対応
(8)改革推進の政治
(9)人口減少食い止めの努力

(1)労働力活用、労働生産性向上による経済力低下の防止

①量的な労働力の増加

  1. 労働力率の引き上げ……高齢者・若者・婦人
  2. 外国人労働者の活用
  3. 海外の労働力の活用(産業空洞化)

②質的な労働力の拡大

    • 伸びる子の芽を摘まない教育が重要である。
    • 健全な社会人となるための躾(しつけ)も徹底
    • 公共心、規律、自立心、向上心、責任感、忍耐等の定着
    • 家庭環境の整備(親対策)にも目を向けるべきである。

まあ、無反省に現象に対する対症的なことばかりですが。

  • 高等教育

産・学・官(公)の幅広い有機的な連携。学問といっても競争力の基礎をつくる点で意義があるのだと。


(2)食料・エネルギー等輸入購買力の問題

食料の自給率の低下が深刻だが、いじめてきた零細農業を復興させるのでなく、農業は

経営についても法人化(株式会社化)や大規模化などによって、効率化・安定化を図っていく必要がある。高齢化が進む働き手の問題については、林業も含め、外国人の活用も検討していくことが考えられる。

(5)世界における存在感(総合国力)の維持・向上

①経済力の低下食い止め
②外交力の向上
外交では、伝統的に防衛力や経済力といった力(ハード・パワー)が重視されてきたが、近年になって、伝統的価値観や文化や知恵・技術といった魅力で相手を惹きつける力(ソフト・パワー)が、国のイメージを高め、広義の安全保障につながるとの認識が広がっている。今後、様々な交流を通じ、中長期的観点から日本のイメージ、親日感の向上に努め、世界からの信頼・尊敬を勝ち得ることに最大の価値を置くべきである。
③アジアにおけるリーダーシップ、中国との共存
日本は明治維新以来、常に欧米との関係を重視してきたが、今後はますます成長著しいアジアとの外交が重要となる。特に、日本がリーダーシップを取って積極的に経済連携を進めていくべきであるが、現状は出遅れの感があり、今後挽回していく必要がある。中国との関係については、共存共栄への道、さらには、東アジア経済の融合に向けての日中協力の推進を目指すべきである。

①あくまで経済大国でいたいということか。しかし、それは無理でしょう。
②③は比較的注目すべき論。これまでのアメリカ一辺倒の腰ぎんちゃく外交についての反省的言及はないものの、日本の安全保障のためにも伝統的価値観・文化・技術など平和的で文化的な魅力を発揮することが外交力の向上だと。「今後ますます、アメリカとの連携が重要」などと一言も書かないところが目新しいか。
日本がアジア諸国から「親日感」を持ってもらい世界から信頼・尊敬を勝ち得る道は奈辺にありや。
外国人労働者を多数流入させてなおかつ「親日感」を持ってもらい信頼と尊敬を集めるには外交のみならず、内政においても外国人労働者を排斥したり差別したりしないような施策が必要であろう。アジア諸国の信頼と尊敬を集めるにはアジア諸国をバカにしない態度が何よりも大切ではなかろうか。


(6)その他社会の活力と質を向上させるための方策

②社会全般の道徳立て直しの努力
「教育の再建」で述べた問題点は、子供だけではなく、日本全体の問題である。「自分だけ良ければ」ではない、良き社会人としての価値を評価する風土づくりを民・官で推進すべきである。

とするなら、拝金主義的な地方破壊・地域破壊、能力主義的な差別選別の教育からいかに脱却できるか、検討すべきだと思う。


(7)地域格差への対応

日本のどのような地域に住んでいても安心して・楽しく生活できる(就労・健康・子育て・教育)ような施策が必要である。それはきめ細かな住民本位の地方自治なくして考えられない。

行政の効率化は不可避であり、基礎自治体の行政単位が細分化されたまま、それぞれ別個に行政サービスを行うという非効率な姿は放置できまい。合併による集約を促進し、併せて、地方分権の具体的運営形態として道州制を志向すべきである。

効率化のための道州制の導入であれば、道州内部での一極集中は避けられまい。
地方は中心都市と山中・海浜の工業地帯と農村との三極構造となり、工業地帯と農業地帯にはそれぞれに外国人労働者が居住することになるのではないか。
地方の中心都市も階層別の住み分けがなされるに違いない。
それは目新しいことではなく現に進行していることであり、そのどこででもかつて見られなかったような犯罪が発生することだろう。


(9)人口減少食い止めの努力

人口減少を食い止めるのは子育て支援、就業支援。安心して産み・育て、子どもや青年がうれしく学び、うれしく成人できる社会。自分の個性や「能力」を階層的「住み分け」の基準にされない社会の構築だと思う。
今、子どもを産まないのは、不安や多忙のせいではないか。毎年3万人以上もオトナが自殺するような社会でうれしく子どもを産めると思うのが少しおかしい。

育児休業制度を取得しやすい環境整備など、仕事と育児の両立支援や、子育て世代に対する経済支援などは早急に取り組むべきであるが、これらは人口問題とは別にしても、働く女性のための本来必要な政策である。また、子供を産まない理由として、価値観の変化や経済的な事情の他に、将来の社会・経済に対する不安が理由となることがある。人口減少を食い止める意味でも、未来への希望を描ける社会づくりが重要である。

付け加えるなら、子どもを産んで育てることがうれしくて楽しいことなのだ、自分も家族も幸せになれるし、地域の誰からも祝福されることなのだ、それが幼稚園から小学校・中学校・高等学校に進み、子どもが成長していけばそれに応じて幸せと祝福が得られるのであるという社会にならなければ、少子化に歯止めはかからないだろう。
今はどうか。子どもを産めば経済的負担と不安がまず発生する。保険に入る。高額な学費を払って幼稚園に行かせる。必要なら義務教育は公立ではなく私立に行かせる。そうでなければ子どもは親にとって「希望」ではなく「生ける不安」「生ける絶望」である。教育と家計をとってみてもこんなに負担と不安とリスクがある。地域ではこれから農業・工業従事の外国人が知らない言葉をガヤガヤしゃべって歩いているし、もしかしたら学校に行かない・行けない外国人の子どもたちが荒んだ眼でウロウロするかもしれないのだ。(外国人労働者流入の是非ではなく、外国人に日本で働いてもらうのであれば、まともな処遇が必要であるということ。)


青年を大切にしろ!

子どもたちが減っているのだと。そんなら青年を派遣で使いまわしたり、請負で使い捨てたりせずに、青年を大切にすることだ。
少なくなっている子どもたちを能力主義や家庭の経済力のふるいにかけて、相互にねたんだりバカにしたりするように育てたり、似非科学で道徳を教えたりするのではなく、誰もが伸びて・それが他者を蹴落とさないような教育システムを構築することだ。
投機的な狡知を競って不労所得を自慢したりねたんだりして、汗して働くことが馬鹿馬鹿しくなるような経済ではなく、労働が尊いものだとされる経済社会を構築することだ。