▼私学の高校生に向かって「自己責任」を説く橋下知事

昨日は腹のたつニュースが二つあった。一つは日米刑事事件・訴訟の密約だが、もうひとつはこれ。
満腔の怒りを以って、記しておく。



法律の専門家のはずだが、弱いものの味方をしたり・住民の立場に立ったりということは、橋下知事はなさらないのである。
昨日の夕方のNHKニュースをみて驚いた。下の引用は別のところから。

橋下知事、高校生と熱く議論 財政難訴え「皆で我慢を」

2008年10月24日0時18分
 大阪府橋下徹知事は23日、府の財政再建策で私立学校への助成を削減したことなどについて、府内の高校生12人と意見交換をした。財政難を訴えて「みんなが我慢しないと借金はなくならない」と熱く語り、府職員が止めるのを制止して、20分の予定を1時間以上延長して「本気トーク」を繰り広げた。
 私学助成の削減案を知り、公立と私立の高校生らが4月に結成した「大阪の高校生に笑顔をくださいの会」が要望して実現した。まず、中学でいじめに遭って不登校になり私立に進んだ女子生徒や、母子家庭で家計を心配する私立の男子生徒らが「安心して勉強させて」と訴えた。すると、知事は「借金してばらまくのは簡単。でも5年後10年後を見据えてみんなで我慢する」「高校には全員がいく仕組みじゃない。(高校とは)別の選択肢もある」と応じた。

http://www.asahi.com/politics/update/1023/OSK200810230101.html?ref=rss

ニュースで報道されていたのは、「母子家庭なので、家計が苦しくこれ以上母親に苦労をかけたくないので、(学費値上げにつながる)私学助成の削減はやめてほしい」などとの生徒の訴えに対して、「将来のためにみんなが我慢しなきゃいけない」などと知事は答えていた。女子生徒が、「将来ではなく今が困っているのだ」と応じていたが、どうやら「公立に入れなかったから私学に行くハメになった」というような話になったらしく、知事は息巻いて、

今の日本は自己責任の国なんですよ、日本は。それがいやだったら、この日本から出て行くか、国を変えるしかない。

と興奮していた。地方自治の長がいったい、さまざまな境遇の中高生に向かって「自己責任」と責め立てるとは何事だろうか。彼等にいったいどんな問われるべき「自己責任」があるというのか。誰の心に身を寄せて物事を考えていくのか、彼等青少年の想いには全く答えず、「高学費に苦しむのはお前等の勝手、貧乏なのはお前のせいだ」と言わんばかりであった。
「国の政治を変えるしかない」って言うんだったら、中期・後期高等教育の無償化のために一緒にがんばりますくらい言えないのか、言わないだろうな。
明日のネットの「赤旗」にも載るかもしれないが、これでは知事は誰のためにあるのかと、「子どもが笑う」って誰の子なんやと叫びたくなった。

追記:高学費に「苦しむのはお前の勝手」

そうはいっても、そのようには言わないだろうなと思っていたが、報道によるとほとんどそう言っているらしい。

橋下知事、生徒にマジ反論 「私学はあなたが選んだ」

私立大阪高校(大阪市)に通う母子家庭の男子生徒が、中学でいじめにあったため、学力的に公立に行けなかった事情を説明すると「いいものを選べば、いい値段がかかる。条件を比較して、あなたが選んだのでは」とやり返した。

http://www.47news.jp/CN/200810/CN2008102301000953.html

このやり取りだけから見れば、「いじめがある公立」(これについての言及は無し!)にしか行けない貧乏人はいじめられても「それが自己責任」、いじめのない私立で高学費に苦しむのも「自己責任」。いったい、地方自治体の長として、青少年の文字通り健やかな成長、勉学の環境整備ということについては全く「無責任」な立場での発言と言わねばなるまい。

追記2:某新聞での報道より

どうも、ネットでは出現していないので。他の報道と比べての特段の内容はありません。一般商業メディアも報道するくらいの暴言盛りだくさんだったということでしょう。

「金がないなら公立に合格しろ」

橋下大阪知事 私学助成訴えに強弁

大阪の高校生に笑顔をくださいの会」(大川育美代表)は二十三日、府庁を訪れ、学ぶ機会を奪う私学助成の削減や府立高校の統廃合をしないでほしいと大阪府橋下徹知事に直接訴えました。

泣き出す高校生も

出席したのは私立や公立の高校に通う十二人。各生徒は、母子家庭などで経済的に楽ではない中で私学に通っていることや、学費のためのアルバイトで疲れ、しっかり勉強したくてもできない仲間がいること、いじめなどによる不登校や勉強の遅れなどで公立高校に行けずに私学に進学したことなどを話し、私学助成が削減されれば学校にいけなくなる人がたくさんでると口々に訴えました。……中略……

公立高校三年生の○○○○さんは「府の財政難を私たちに押し付けないでほしい。いまがとても苦しいのに、知事はそれをわかってくれない。私たちに自己責任だといっているのといっしょ」と、くやしさで涙をあふれさせました。(10/24記事より抜粋)

次の記事が一番ナマナマしいかな。

大阪・橋下知事私学助成金削減めぐり高校生と意見交換会 「日本は自己責任が原則」

大阪府の橋下 徹知事が23日、地元高校生と私学への助成金削減プランをめぐり、意見交換会を行った。

橋下知事と高校生の意見交換会は大激論となった。

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00142918.html