▼夕張市職員・公務員の給与──資料と感想

市民に支持される公務労働者に

たしかに、私もいろいろと反応しそうになった。とくに「退職して生活保護を受けたほうがマシ」との発言ともとれるくだりには。
当該の記事を読む限りでは、公務員の給与や給与に対する感覚が、民間の労働者、不安定雇用者、失業者の感覚と大きくずれているし、生活保護制度に関する認識もゆがんでいるか一面的、ある意味楽観的ではないかと思った。

北海道新聞 手取り、生活保護以下? 夕張市職員 来年度からの給与削減で
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20061228&j=0022&k=200612275719

痛いニュース(ノ∀`):「"住宅ローンや子供3人の保育料など差し引くと19万"・・・生活保護以下だ!」 夕張市職員 来年度からの給与削減で憤り、嘆き
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/886440.html

◆教えて! goo 公務員の給料は平均いくらっすか?
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa1449138.html

◆公務員って最高じゃん?
http://www.geocities.jp/koumuin_saikoujan/

◆日刊スポーツ 夕張市職員の85%退職検討 2006/12/06
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20061206-126728.html

総務省 地方公務員の給与水準
http://www.soumu.go.jp/iken/kyuyo.html

総務省 平成16年地方公務員給与実態調査結果の概要
http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/041224_4.html

総務省 平成17年地方公務員給与実態調査結果の概要
http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/051222_9.html

総務省 平成18年地方公務員給与実態調査結果の概要
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/061226_2.html

夕張市職員の給与等の状況
http://www.city.yubari.hokkaido.jp/cgi-bin/odb-get.exe?WIT_template=AC020000&WIT_oid=icityv2::Contents::1612

こうしてみると、夕張市職員の給与は公務員としては決して高くはない。
5人家族なら、新給与体系で生活保護よりも低い金銭しか使えないかもしれない(ただし働いていても生活保護は受給できるはず)。
それでもあちこちで反感を持たれているのは、以下のようなことが理由として挙げられよう。

  • 記事の読者の側に不安定雇用者が増えたこと、不安定であるだけでなく長時間労働・低賃金を強いられている労働者が増えていること、年金や医療など生活に不安を抱えている人たちが増えているだけでなく、その不安が深刻であること。
  • 公務員賃金が読者層に比して相対的に高いであろうこと
  • 市民に奉仕すべき公務労働者が夕張市民の生活には目もくれず、自分の給与の下がるのをのみ嘆いている(と報道されている)こと。退職の決意が公務の放棄に重なって受け取られているであろうこと。
  • 生活保護制度への無理解、あたかも働くのが損でばかばかしいと言っているととれるような記事、もしくは本当にそう思っている「男性」(北海道新聞の記事)

 住宅ローン、保育料などを差し引くと平均月額十九万円
 男性が仕事を辞めて生活保護を受給した場合、一家の受給額は月額約二十五万円になる。
 子供たちの進学など将来を考えると、生活保護は受けたくない。

家を持っていて子どもが三人居る。このこと自体、本来よろこばしいことであるのに、非難したくなる生活を少なくない市民・国民が強いられているのであるから。
 

公務労働者を敵に回して公務員を叩いても、非正規・不安定雇用者の処遇や生活の解決にはならない。一部の人の「溜飲が下がる」だけである。
だけれど、記事の男性が公務労働者の代表だとは思わないけれど、公務労働者も市民に支持され・理解される活動を日常的に・分かりやすく展開しないと、「公・民」の溝はますます深まるばかりだろうな、というのが感想であった。