▼学校が子どもたちを預かり・教育する上での安全や利害についての説明が不足しているのでは?

「今すぐクラス移して」…教師に無理難題、理不尽な親急増

http://www.sankei.co.jp/news/060723/morning/23iti002.htm
痛いニュース」から引っ張ってきたんですが、産経新聞のそれ。記事は池田証志さん。この日記の7月23日か24日に載せていたんだけど、今日にもって来ました。


 「あの子の親と仲が悪いから、今すぐうちの子を別のクラスに移して」「うちの子がけがをして学校を休む間、けがをさせた子も休ませろ」…。保護者が教師に無理難題を言うケースが各地で急増している。教師が頭を悩ますこうした「理不尽な親たち」について、大阪大の小野田正利教授(人間科学、教育制度学)は、文部科学省の科学研究補助金を受けて教育関係者や弁護士、精神科医らによる「学校保護者関係研究会」を発足させ、原因究明と対策に乗り出した。(池田証志)
 「基本料金を日割りで払え」。持ち込み禁止の携帯電話を生徒から取り上げた中学教師は、保護者にこう言われ、言葉が見つからなかった。
 ある幼稚園では、おもちゃを取り合う園児を見た親が「取り合うようなおもちゃを置かないでほしい」と申し入れた。小学校の1学年全クラスの担任配置表を独自に作成し、「この通りでなければ子供を学校に行かせない」と要求した保護者もいる。
 小野田教授のもとには、信じがたい親たちの実態が全国の教育現場から続々と集まっている。
 ≪病む先生…≫
 先生たちはお手上げだ。文科省調査では、全国の公立小中学校で精神性疾患による教職員の休職者は一昨年度、病気休職者の56%を占める3559人に達した。10年前のほぼ3倍だ。研究会メンバーの嶋崎政男・東京都福生市教委参事は「現場感覚でいうと、精神性疾患による休職の多くに保護者対応による疲弊が関係している」と見る。
 小野田教授の調査に、小中学校・園の8割が「無理難題要求が増えた」と回答。背景として嶋崎参事は「教師の能力に問題があるケースもあるが」と前置きした上で、「行政による『開かれた学校』がうたわれた結果、些細(ささい)なことにもクレームが寄せられるようになった」と指摘する。
 保護者の理不尽な要求への関心は高まっており、小野田教授の講演依頼は学校やPTA、民生委員から殺到している。
 ≪家庭に原因≫
 「過保護型」「放任型」「過干渉型」。嶋崎参事は、無理難題を言う保護者の養育態度を3種類に大別する。いずれも家庭内の人間関係に原因がある場合が多く、過干渉型の場合、親にとって「良い子」を演じる子供が教師の言動を大げさに報告し、事態を悪くすることもある。
 また、要求態度については、子供の言い分をうのみにする溺愛(できあい)型▽教師の困った様子を見て満足する欲求不満解消型▽利得追求型−などに分類している。
 ≪学校の限界≫
 このような保護者への対応として、嶋崎参事は(1)複数の教師で対応に当たる(2)専門家のアドバイスを受ける(3)マニュアルを作る(4)事前研修の実施−などを提案する。
 その一方で「学校に無理な要求をする保護者は皆何らかの問題を抱えている。その解決のために学校と話したいという意思表示と考えるべきだ」とし、要求を機に保護者を“味方”に変える努力を呼びかける。
 小野田教授は「たてつかない弱者をいじめる“言った者勝ち”の傾向が社会に蔓延(まんえん)している」と指摘。社会問題としてとらえ、第三者機関の設置や学校の“守備範囲”の限定を訴えている。

『とりあえず、社会学。ああ、社会学って便利なハコだな。
若い親たちも「損得」「競争」に敏感になっているのではないか。
保護者が教師に無理難題を言うケース原因と対策(どんな? 対処マニュアルの作成? 親に対する説諭?)を研究する「学校保護者関係研究会」の今後の研究成果に注目したい。』
と以前書いた。


ファンキー通信】「給食費は義務教育の範囲内でしょ!」ブチ切れ保護者から教師を救え!?

今日読んだのはこれ。
こちらは産経の記事の約20日後の今日13日のライブドアの記事。by 平田桃子さん/verb
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2309687/detail

 「うちの子と○○ちゃんは仲が悪いみたいなの。今すぐクラスを別々にしてもらえます?」
 これはある保護者が学校の教師に突きつけた要求。受け入れられるわけがないだろう、と耳を疑いたくなるようなこの発言。関係者によると、こんなのはまだまだ序の口らしい。中にはとんでもない無理難題を要求する親たちが急増しているというのだ。大阪大学の小野田正利教授を中心に発足した「学校保護者関係研究会」は、教師が頭を悩ます“理不尽な親たち”について、その原因究明と対策に乗り出しているという。
 「本来学校側に対して保護者が要求をするというのは、まったく問題のない行為です。ただ、最近の保護者の要求は度が過ぎています」(東京都福生市教委参事 嶋崎政男さん)
 このほか、「義務教育だから給食費は払わない!!」「うちの子は箱入り娘で育てたい。誰ともケンカさせないという念書を提出しろ」「保護者会に参加するために会社を休んだから休業補償を支払え」などの要求のほか、しまいには「うちの子がけがをして学校を休む間、けがをさせた子も休ませろ」と言ってくる親まで・・・。
 これでは教師があまりにかわいそう。しかし親御さんたちの要求をむげに扱うわけにもいかない・・・。
 「そうなんです。このような無理な要求に対応しようと頑張って、心も病んでしまう教師はたくさんいます。また真剣に向き合うあまりに、教師と保護者が敵対関係になってしまうことも」(同)
 こうしたケースに教師たちはお手上げ状態のようだ。文科省調査によれば、全国の公立小中学校で精神性疾患による教職員の休職者は10年前のほぼ3倍に。小野田教授の調査によると、小中学校・園の8割が「無理難題な要求が増えた」と回答しているんだそう。その背景には教師の能力に問題がある場合も多分にあるが、保護者のコミュニケーション能力の低下が主な原因としてあげられる。
 教師と保護者が手を結んでいかないと“いい教育”は子供たちにできないのではないか。子供かわいさゆえのこの行動も、ここまでくると考えものである・・・。(平田桃子/verb)

ファンキーな記事?

この平田さんという方は、【ファンキー通信】「戦争が起こっても、戦いません!」が世界一の日本
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2261170/detail
という記事も書いておられた。
http://d.hatena.ne.jp/ost_heckom/20060731/p1


だいたい「ファンキー」ってどういう意味なのかよく知りもしないまま読んだりしてるけれど、「軽薄」という程度の理解でよいのだろうか。きっとそれでよいのだと思う。私もファンキーな気分で読んでいたから、「あぁ、教師って大変」という程度に流していたが、よく読めばそうでもない。
親の要求には根拠があるし、その要求に応えられないというのは後出しジャンケンのような屁理屈しか思いつかない。

学校が遅れているだけでは? 親は理不尽ではない。

教師にとってはこれらの要求は理不尽に思えるのだろうが、当然な要求ばかりである。老人が施設に入所する場合はこれらのことの多くは予め文書で説明され、同意書を書かされる。
学校が思いつき的にふるう「没収」「検閲」という権力に根拠がないことの方が遅れているのである。しかるに、親と子を敵視するのみの対応では、いつまでも「難儀」なままであろう。(「難儀な」親が少なくなくなっているのだろうことは否定しない)

  1. 「あの子の親と仲が悪いから、今すぐうちの子を別のクラスに移して」
  2. 「うちの子がけがをして学校を休む間、けがをさせた子も休ませろ」
  3. 「基本料金を日割りで払え」。持ち込み禁止の携帯電話を生徒から取り上げた中学教師は、保護者にこう言われ、言葉が見つからなかった。
  4. ある幼稚園では、おもちゃを取り合う園児を見た親が「取り合うようなおもちゃを置かないでほしい」と申し入れた。
  5. 小学校の1学年全クラスの担任配置表を独自に作成し、「この通りでなければ子供を学校に行かせない」と要求した保護者もいる。
  6. 「義務教育だから給食費は払わない!!」
  7. 「うちの子は箱入り娘で育てたい。誰ともケンカさせないという念書を提出しろ」
  8. 「保護者会に参加するために会社を休んだから休業補償を支払え」

これらの要求を類型化するのは研究会に任せるとして、親の要求の検討や学校側のあるべき対応を考えてみようか。

1.「仲が悪い子同士を接触させるな。悪くなったら即時に」

という要求だが、これは子どもたちが相互に殺戮してしまうという事件が発生したのだし、いじめが原因でいじめられた子の生涯がゆがめられてしまう可能性を考えると、尤もな要求である。
どうやって子どもたちの相互の生命の安全を確保し、精神的傷害から守ってやろうとしているのか。これを明らかにできない限り、親としては一日も早く別のクラスにして欲しいと願わずにはおれまい。
しかるにクラス替え要求にいちいち応じていたらクラスをいくつ作っても間に合わぬ。

  • 少人数学級にしてクラスを数多く設置し、教師がよく目が届くようにする。
  • 子どもたちの動向によく注意し、険悪な仲が発生すれば仲直りできるクラス運営を行う。小学校中学年・高学年(特に女子)がしょっちゅうグループを作ってはいがみ合っているのはよくあることだ。
  • 子どもらは仲がよかったり悪かったりけんかしたりすることを予め親に文書で納得してもらっておく(理解している旨一筆頂く)。
  • 班替え・クラス替えには人的・物理的限界があることを予め親に文書で納得してもらっておく。
  • 子ども集団の発達段階や特性、それに対する教師の対応について予め文書で説明し、理解した旨一筆貰う。
  • 以上を踏まえ、学級運営・学校運営の変更についてのルールを決めて契約書のようなものを作る。
  • それでも学校の処置に不満の場合は転校するか、予め別の学校に入学させる。(今のところ越境が認められないなら私学しかないが。)
2. 加害児童へのペナルティ

例は被害児童と同等の停学処分を求めたものであるが、児童は自我が未発達であり衝動的に或いは事故性の高い「加害」であると考えられる。
そうではなく、意図的な傷害であれば「警察沙汰」になり当該加害児童は学校教育とは別の制度の世話になることになる。

  • よって、これは予め、子どもたちは喧嘩をするものであり、喧嘩をすれば怪我もする、ということを親たちに文書で理解せしめておくこと。
  • 喧嘩のルール(武器は使わない、グーで叩かない、いじめは人間として許されない)などを日ごろから徹底させること、そのことを親に知らせておくこと。
  • 教師の安全に対する対策を説明し、予め納得してもらうこと。教師の責任範囲を明確にしておく。
  • 子どもの喧嘩やふざけによる怪我は事件性の低いものであるので、ペナルティを「加害」児童に課さないこと(「課す」ことも排除はしない)を予め説明しておく。
  • 学校健康会?などからの見舞金で収めるのが普通だということを知らしめておく。
  • 以上を予め説明し、同意書をとっておく。予め同意できない場合のルールや意見の窓口を明確にする。
3. 携帯電話は没収する。基本料金も機器料金も児童生徒の自己責任です。と決めておくだけでよい。

 「持ち込み禁止の携帯電話を生徒から取り上げた中学」校は、その禁止のルールが不備だったとしか言いようがない。携帯電話を禁止したいなら、予め理由をつけて説明し、その費用に関わる取り決めを公示しておくだけでよい。これは同意書は要らないだろう。
 タバコやライター、マンガ、携帯オーディオ機器など何でも禁止して「没収」するのなら、その物品の対価について決めておくべきである。うっかりかばんに入っていたi-Podを取上げるのはかわいそうだけど、再調達原価がいくら以上なら親に返還するとか決めておけばよい。

4. や 7. 子ども同士の争いについて全般的な教育と理解を

子どもがおもちゃを取り合ったり、つかみ合ったり、幼児同士がかみ付き合って喧嘩したりということを、核家族で育ったギャングエイジも体験していない親は理解できないのである。
教育の専門の機関の側が、子どもの喧嘩と安全と学校施設の責任範囲についてよくよく勉強して親にも理解させること。文章で理解させ、喧嘩しても文句言わないとか、治療費負担のルールや後遺症についての取扱い、学校や施設における傷病についての取扱・保険などを予め文書で提示して同意書をとっておくこと。

5. 教師は今日でも選べないのか。学級編成の権限や方法について

これは要求だけが取上げられているが、もっと内容を検討すれば、教育学上の貴重な問題提起かもしれない。これは学校教育についての学問に譲ろう。人民が公教育にどのように関わるのが・どのように・なぜ良いことなのか・よくないことなのか、クループスカヤやウシンスキーなど紐解くのも良いかもしれない。
しかし、さしあたりは「最終的には校長の権限です」と突っぱねて宜しかろう。

6. 「義務教育だから給食費は払わない!!」

これは当然の要求である。むしろ義務教育で給食も「教育」と位置づけられている(はず)なのに、どうして有料なのか、理解に苦しむ。
日本国憲法の第26条第2項「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」
最近、給食費も払えない親が居る一方、給食費を意図的に払わない親もたくさんいるらしいが、NHKの受信料だって払う義務があるのに払わない人がいるし、払わないという運動すらある。
NHKの視聴は義務ではないが教育を受けさせることは義務なのだから、素直に憲法に従って、通学の費用・教科書・給食・修学旅行その他小中学校のあらゆる授業や行事は無償にすべきである。
給食費を払わない親を敵視するのは憲法を敵視することであり、これは公務員の責務に反する。

7. 再論「うちの子は箱入り娘で育てたい。誰ともケンカさせないという念書を提出しろ」

親の責任範囲も明確にすべきですね。

8. 「保護者会に参加するために会社を休んだから休業補償を支払え」

これも当然の要求である。会社によっては参観休暇を有給で認めているところもあるが、そうでないとろも多かろう。義務教育で通わせている学校が、子どもの学力も保証できないくせに、親に出てくるように指示して、日ごろは税金を取りながらビタ一文報わないというのはおかしい。

  • ひとつは保護者会も国民の義務としてきちんと位置づけること。義務教育の一環であると。
  • もうひとつは少子化対策でもなんでも良いが、保護者会やなんやについて免税だとか公的手当ての上積みだとかを充実させるべき。労働保険からの給付では自営業者がもれるので不公平。


今日はここまで。