▼下見て登下校せよ! 何も見なければ加害者ではない。

承前
ほとんど、「ネタ」の世界になってしまいましたが。「社会奉仕」の続き。

教育再生会議の「社会奉仕」認識

再生会議のページにはまだ何も出ていないけれど。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061129-00000024-maip-pol
いじめ問題への提言がものすごい。「これはひどい」にぴったり。

◆政府の教育再生会議が29日まとめた緊急提言は次の通り。
 「いじめ問題への緊急提言」

 すべての子どもにとって学校は安心、安全で楽しい場所でなければなりません。保護者にとっても、大切な子どもを預ける学校で、子どもの心身が守られ、笑顔で子どもが学校から帰宅することが、何より重要なことです。学校でいじめが起こらないようにすること、いじめが起こった場合に速やかに解消することの第1次的責任は校長、教頭、教員にあります。さらに、各家庭や地域の一人一人が当事者意識を持ち、いじめを解決していく環境を整える責任を負っています。教育再生会議有識者委員一同は、いじめを生む素地をつくらず、いじめを受け、苦しんでいる子どもを救い、さらに、いじめによって子どもが命を絶つという痛ましい事件を何としても食い止めるため、学校のみに任せず、教育委員会の関係者、保護者、地域を含むすべての人々が「社会総がかり」で早急に取り組む必要があると考え、美しい国づくりのために、緊急に以下のことを提言します。
(1)学校は、子どもに対し、いじめは反社会的な行為として絶対許されないことであり、かつ、いじめを見て見ぬふりをする者も加害者であることを徹底して指導する。<学校に、いじめを訴えやすい場所や仕組みを設けるなどの工夫を><徹底的に調査を行い、いじめを絶対に許さない姿勢を学校全体に示す>
(2)学校は、問題を起こす子どもに対して、指導、懲戒の基準を明確にし、毅然とした対応をとる。<例えば、社会奉仕個別指導別教室での教育など、規律を確保するため校内で全教員が一致した対応をとる>
(3)教員は、いじめられている子どもには、守ってくれる人、その子を必要としている人が必ずいるとの指導を徹底する。日ごろから、家庭・地域と連携して、子どもを見守り、子どもと触れ合い、子どもに声をかけ、どんな小さなサインも見逃さないようコミュニケーションを図る。いじめ発生時には、子ども、保護者に、学校がとる解決策を伝える。いじめの問題解決に全力で取り組む中、子どもや保護者が希望する場合には、いじめを理由とする転校も制度として認められていることも周知する。
(4)教育委員会は、いじめにかかわったり、いじめを放置・助長した教員に、懲戒処分を適用する。<東京都、神奈川県にならい、全国の教育委員会で検討し、教員の責任を明確に>

(5)学校は、いじめがあった場合、事態に応じ、個々の教員のみに委ねるのではなく、校長、教頭、生徒指導担当教員、養護教諭などでチームを作り、学校として解決に当たる。生徒間での話し合いも実施する。教員もクラス・マネジメントを見直し、一人一人の子どもとの人間関係を築き直す。教育委員会も、いじめ解決のサポートチームを結成し、学校を支援する。教育委員会は、学校をサポートするスキルを高める。
(6)学校は、いじめがあった場合、それを隠すことなく、いじめを受けている当事者のプライバシーや二次被害の防止に配慮しつつ、必ず、学校評議員、学校運営協議会、保護者に報告し、家庭や地域と一体となって、解決に取り組む。学校と保護者との信頼が重要である。また、問題は小さなうち(泣いていたり、寂しそうにしていたり、けんかをしていたりなど)に芽を摘み、悪化するのを未然に防ぐ。<いじめが発生するのは悪い学校ではない。いじめを解決するのがいい学校との認識を徹底する。いじめやクラス・マネジメントへの取り組みを学校評価、教員評価にも盛り込む
(7)いじめを生まない素地をつくり、いじめの解決を図るには、家庭の責任も重大である保護者は、子どもにしっかりと向き合わなければならない。日々の生活の中で、ほめる、励ます、しかるなど親としての責任を果たす。おじいちゃんやおばあちゃん、地域の人たちも子どもたちに声をかけ、子どもの表情や変化を見逃さず、気付いた点を学校に知らせるなどサポートを積極的に行う。子供たちには「いじめはいけない」「いじめに負けない」というメッセージを伝えよう。
(8)いじめ問題については、一過性の対応で終わらせず、教育再生会議としてもさらに真剣に取り組むとともに政府が一丸となって取り組む。
毎日新聞) - 11月29日16時57分更新

文字が小さいところは、妥当だとか無視だとかいうことより、眼に入ってくる文字を捨象するのが面倒なので小さくしました。


「いじめを生み出す素地」は家庭にあり!

たしかに、「いじめの温床」ということに言及したことは前進かもしれない(前文)。しかし、その「いじめを生む素地」が何なのか全く言及されず、次に「いじめを生む素地」が出てくるのは(7)「家庭の責任」の項目である。美しい国を阻害するのは家庭である。

美しい国は美しい家庭と美しい地域から

家庭では、褒めたと思えば叱り、次には励まし、とにかく「マサルちゃん、あなたはできる子なのよ、いじめなんて関係ないわよね。マサルちゃん、今日の塾のテストは大丈夫よね。マサルちゃん、どうしたのその鬱陶しそうなお顔は?! マサルちゃん、お母さん怒るわよ!」と、子どもに向き合って、メッセージを送り続けなければならない。
それを見ていた爺さんが学校に通報!
「うちのマサルは、朝から元気も生気もないのです、先生!」
地域の人も心配そうに窓から覗いているよ。


いじめが発見されるまで調査する

「見て見ぬふり」ではなくではなくて「見ない」ことだ

今や、「いじめがない」ほうが不自然だ。いじめがゼロなんて何か隠している。ということになっているのだから、「徹底的に調査」する。
地域にも家庭にも通報を義務付けている。子どもたちも相互に監視させる。一億総諜報員だ。見てみぬ振りするやつはスパイだ。
いじめを見てしまったら大変だ。子ども達は登校から昼休み、下校まで下を向いて、余計なものを見ようようにする。親もこっそりそのように指導しているし、先生も調査しながら
「おい、田中。おまえ、明日からメガネかけてくるな。余計なもの見ちゃうだろ。見ちゃったら加害者なんだぞ」
と誰もが潜在的に加害者であることを徹底する。


今は「反社会的」で済んでるけれど、これからは反逆罪だぞ

いえよし先生「それからな、いじめは今「反社会的」ってことになっていて、万引きとか暴走族とかと同じで、お前ら未成年は教育の対象ってことになってるけど、これからは「美しい国」に逆らう国家反逆者ってことになるからな。そこんとこ夜露死苦!」
伊吹もんみょう君「いじめは恥ずかしいことだと思っていたんですが」
いえよし先生「そうとも言う。〔……じゃあ、いじめられっ子は、いじめっ子を恥ずかしい目にあわせているんだろか……?〕
まぁ、みんなで美しい国の歌、君が代でも歌おうか?」




いじめてもいい。やめさせれば何度でもいじめていい。

でもな、「いじめるのは、人間の佐賀だから」。本当は仕方がないし、いじめが見つかってもいいんだ。見つかったらヤメロよ? 見つかったらヤメルのがいい学校だし、いい生徒だし、先生たちもいい先生ってこった。


仲良くしようや、みんな

「クラスマネジメント。転校する以外に逃げ道はないんだよ。セカンドオピニオン? ははぁ、吉田、お前のとーちゃん医者だったな。セカンドオピニオン生活保護ケースワーカーとクラス担任にはないんだよ。残念だったな。
だから、みんな仲良くしようや。話し合おうや。」

一番いいのは「昔はいじめがあったが、今はなくなった」

「学級委員長の光田から良い作文が出されたから読んでやる。
『ボクのクラスには、昔いじめがありました。誰も注意せず、みんな見て見ぬふりをしたり、いじめに加わったりしていました。
全国で、いじめが原因で自殺したりする子どもたちや校長先生が増えたので、先生は「こういうのを反社会的っていうんだよ」と教えてくれ、クラスみんなで『反社会的』とは何か、『美しい国』とは何か話し合いました。
それからクラスは変わりました。いつもは「いじめ」はありませんが、ちょっと昔を振り返ると「いじめ」があったことが思い出されます。誰かがいじめの投書箱に「いじめられたことがある」という紙を入れるのです。
先生たちは目を輝かせて話し合いを始め、クラスでは今月の奉仕当番(近所のどぶさらいか川原で空き缶拾い)を誰にするか、特別授業(を別室で受ける)の当番は誰にするか「くじ引き」委員が忙しくなります。」

過疎の町では

子どもが少なくていじめを徹底的に調査するのだが、頑として口を割らずに困ってしまう。このままでは、ただでさえ少ない学校の予算も削られ、出世にも響いてしまう。



もともとは「社会奉仕」が「懲戒」という文脈で出てきたので、着手したのですが。
疲れてきましたので、今宵はこの辺で。