逸脱少年も被害児童も「補導」されるべき「不良」

不登校も非行として補導

奈良県議会平成18年度議案(知事提出)のうち、議第45号「 奈良県少年補導に関する条例」はとんでもない条例案である。

補導対象を明確化-県少年補導条例案
 県警は20日、少年非行や少年が犯罪に巻き込まれる被害を未然に防止する街頭補導活動の活性化を制定の目的とする「県少年補導条例案」を発表した。同条例案は27日開会の2月定例県議会に提出、可決されれば7月1日から施行される。
 条例案は5章30条で構成され、飲酒や喫煙、深夜徘徊(はいかい)など補導の対象となる不良行為を26項目にわたって規定。昨年12月に発表された要綱案からさらに検討を加え、主に4点について変更された。
 要綱案では、正当な理由なく学校を休んだり早退や遅刻することを不良行為としていたが、条例案は「義務教育諸学校」の児童生徒に限定。いわゆる不登校の児童生徒が補導の対象とならないことを明確にするため「義務教育諸学校を欠席、早退、遅刻をして徘徊し、遊技や遊興する行為」と規定した。
(2006.2.21 奈良新聞)
http://www.nara-shimbun.com/n_soc/060221/soc060221b.shtml

そのうち、ニートうつ病患者、統合失調症患者、てんかん患者までが犯罪予備軍として警察からマークされることになる。(すでになっているかも)
これも学校で逸脱者を監視し・懲罰する体制にそっくりである。

これが条例案
http://www.police.pref.nara.jp/ikenbosyu/shounenhodoujourei/051222.pdf
http://www.police.pref.nara.jp/ikenbosyu/shounenhodoujourei/kekka051222.htm
或いはこれが提出されている条例案なのか。
http://www.police.pref.nara.jp/ikenbosyu/shounenhodoujourei/pdf/060220-3.pdf

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20060227/1141038273

  • 仮称「奈良県少年補導条例(案)」要綱案に反対する会長声明

http://www.naben.or.jp/shonenhodou.htm

  • しばらく奈良県議会の議事を注視していかねばならない。

http://www.pref.nara.jp/gikai/index2.html

  • 未読の参考サイト

http://zirr.hp.infoseek.co.jp/020380.html


補導の法的根拠や内容についても調べなければ。私は知らないから。


修学旅行生も取締りの対象に──井上まさひろ議員より

「奈良・県議会・補導」などの語句で検索し、ヒットした議員さんに意見を述べようと思いました。ところが、議員さん個人のホームページでこの問題を扱っておられるのは少なかったようです。演説原稿を公開して、当該条例案に言及している奈良市会議員(送信の際は県議会議員だと思ってました)井上まさひろ氏にメールしたところ返事を頂きました。
http://www.jcp-nara.com/inoue/


本当にひどい条例案です。少年の飲酒や喫煙、遅刻・早退、不登校までも不良行為とみなし、補導の対象にしようとするものです。

①これまでの警察の補導が、少年犯罪防止にどれだけの貢献をしたのかの検証がないこと、
②なぜ奈良県だけが他県に先んじてこの条例を制定しなければならないのか、具体的な根拠がいまだに示せないこと。
奈良県における少年犯罪はむしろ減少傾向にあること
④少年非行の原因や背景に目を向けず、現象だけとらえ、威嚇と監視では一向に減らないことは明らかであること
⑤少年の願いや思いをきちんと受け止める大人の責任こそが今問われていること。
⑥何を補導の対象にし、どう対応するかというのは全国統一の基準で運用すべき警察権限のはずであって、奈良県警察が独自の判断で補導できる根拠を持つと言うのは都道府県の条例制定権を超えています。不良行為がある県では補導の対象となり、ある県ではそうならないというのはおかしな話です。

以上の問題があると思います。私もこの問題のシンポジウムがあったときに「他県の少年が修学旅行などで奈良に来られた際にも、この条例が適用されるわけですから、これは奈良だけの問題ではなく、全国の問題だ」と発言しました。奈良でも一昨年発生した富雄北小学校女児誘拐殺人事件以降、少年犯罪の防止を理由に、警察の市民生活への介入を許す土壌が形成されつつあります。危険なことです。ちなみに今日、3月2日付のしんぶん赤旗の4面右肩にこの問題が掲載されています。

とのことです。県外からの意見も少なくないようで、もっと青少年の教育や生活環境・住環境を見直すような施策に県が力を入れるよう期待したいと思います。