▼国際学習到達度調査に見る貧困と学力の格差

抜粋(太字や見出しはオスト・ヘッコム)

コラム
学力格差と子供の貧困
2007年12月11日

国際学習到達度調査(PISA)の結果である。日本の15歳児は 03年から06年にかけて全分野で順位を落とした

読解力の低下

……注視すべきは、「読解力」において習熟度が著しく低い生徒の割合が、2003年に急増したまま推移している点である。「読解力」の習熟度は6段階で評価されており、最低レベルは「レベル1未満」である。これは、最も基礎的な知識と技能が身についていないレベルであり、教科書を読んでも理解する能力がなく、学校で教えることに全くついていけないレベルといわれている。「レベル1未満」の生徒の割合をみると、2000年に2.7%であったのが、03年 7.4%、06年6.7%と推移している。

人としての自立の基本としての読解力の危機

読解力が乏しければ、他分野における知識や技能を習得したり、発展させていくことが難しい。将来的にも、就職が困難なだけでなく、生涯学習などを通じて学び直すことにも支障があろう。将来の可能性が閉ざされがちな「レベル1未満」の生徒を、義務教育終了段階で、毎年7%前後送り出している状況は改善しなくてはならない。

家庭の学習環境の崩壊が低学力を招き・固定する

他方で、生徒を取り巻く家庭の学習環境を支援していくことも必要であろう。PISA調査によれば、経済状況や勉強机・書籍の提供状況など、家庭の学習環境と生徒の得点の間には強い相関がみられるという。日本では90年代後半以降、失業や倒産などが増加した。03年から習熟度の低い生徒の割合が急増した背景には、こうした親の事情によって潜在的な能力を発揮しにくい環境に置かれた生徒の増加があるのではないだろうか。

子どもの貧困を正面に

この点英国では、2020年までに「子供の貧困」を根絶することを政府の重要目標としている。この背景には、親の収入格差が子供の学力格差につながるなど、階層の固定化を懸念していることがある。そのため、子供を有する失業世帯や一人親世帯に対して、就労支援、社会保障給付の拡充、税制優遇措置などを行っている。日本では「子供の貧困」に対する問題意識が低いが、PISA調査を契機に学力格差との関係を調査して、有効な対策を講じる必要があろう。

エリート養成ではなく底上げで

こうした学力の底上げに向けた取り組みは、国全体の学力水準の向上にもつながる。国の平均点を高めるには優秀な生徒を伸ばす方が効果的だと考えがちであるが、実はフィンランドをはじめ上位国は、習熟度の低い生徒の割合が著しく小さい。これは、PISA調査から導かれるひとつの重要な示唆でもある。

社会保障 藤森クラスター 藤森 克彦)氏による

http://www.mizuho-ir.co.jp/column/shakai071211.html

見出しは必ずしも筆者藤森氏の意図したものに沿ってはいないかもしれない。
高すぎる国保料、低すぎる生活保護水準、そしてそれ以下の生活を強いられている世帯の子どもたち。
われら・彼ら自身の階級的・階層的な健康と人間らしい生活のためにも、今・今の生活の即刻の改善の手立て・救済が求められる。

参考:非常に興味深い
http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/education/20071204pubilc_release.pdf
http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/education/20071204keyfindings.pdf
http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/education/20071204note_japan.pdf
http://www.pisa.oecd.org/dataoecd/15/13/39725224.pdf (大ファイル)
http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/education/20071204sg_speech.pdf