▼ひとり親への支援

第一生命経済研究所のライフデザイン研究所
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/watching/wt0607b.pdf

増加する若い「ひとり親世帯」

研究開発室 的場 康子氏 2006年7月

ひとり親世帯が増えている

厚生労働省がほぼ5年ごとに実施している「全国母子世帯等調査結果報告」によれば、2003年現在、

  • 母子世帯は1,225.4千世帯であり、1983年から20年間に約50万世帯(70.6%増)も増えている。
  • 父子世帯は世帯数、伸び率ともに、母子世帯ほど大きくないが、10年前の93年から10.4%増えて173.8千世帯である。

原因の殆どが離婚であるが、全て一人っ子だとしても140万人もの子どもたちが「ひとり親」である。「世帯」だから、祖父母も一緒に暮らしている子どもたちは除外されているのだろう。

家庭裁判所における婚姻関係事件では、申立て(67,688件)の動機として多いものは、

  • 性格が合わない(32,911件、48.6%)、
  • 異性関係(16,856件、24.9%)、
  • 暴力を振るう(15,889件、23.5%)

である

暴力が多いのが目立つ。総世帯数からするとわずかだが、この申立て件数の期間は平成16年であるらしい。(平成18年度版母子家庭の母の就業の支援に関する年次報告)。

親子とも低年齢化が進んでいる

母子、父子世帯ともに、1998年調査に比べ、30代以下の割合が高まっていることがわかる。そのような傾向により親の平均年齢が、

  • 母子世帯は1998年調査の34.7歳から2003年調査の33.5歳に、
  • 父子世帯も同40.2歳から同38.3歳に若くなっている。

……
なひとり親の若年化に伴い、子どもの年齢も低くなっている。
すなわち、母子、父子世帯ともに、ひとり親世帯になったときの末子の年齢が「5歳以下」という世帯が増加しており、2003年調査では5割以上を占めている。
末子の平均年齢についても、
母子世帯は1998年調査の5.4歳から2003年調査の4.8歳に、
父子世帯も同7.8歳から同6.2歳に若くなっている。

概ね1970年以降に生まれ、1990年以降に成人した親たちか。


ひとり親が困っていることは

実際の生活において、親本人が困っていることをたずねた結果をみると、

  • 母子世帯では「家計」(43.7%)、
  • 父子世帯では「家事」(34.6%)

の割合が最も高く、母親、父親という性別による違いがみられた。
世帯収入をみても、年間収入金額(生活保護法に基づく給付、児童扶養手当などの社会保障給付金、就労収入、別れた配偶者からの養育費、親からの仕送り等を含む全ての収入額)は、

  • 母子世帯が212万円、
  • 父子世帯が390万円

となっており、父子世帯の方が高い。その背景の一つには就業状況の違いがある。父親の多くは常用雇用者であるが、母親の場合には、常用雇用者よりもパートや派遣社員等の非正規雇用者の方が多い。

ひどく収入が少ない。父子世帯は子どもの数によれば多いといえるかもしれないが、390÷12=32.5万円/月、だから可処分所得が25万くらいか。しんどいのは母子世帯である。
子どもはどんどん大きくなって、服も・靴も買わねばならないし、学用品も買わねばならない。安全で安心できるものも食べさせたいが、そういうものは高い。料理もしなければならないが疲れていて時間もない。


これは「平成18年度版母子家庭の母の就業の支援に関する年次報告」から。


母子家庭の1世帯当たり平均所得金額は、224万6千円であり、世帯人員1人当たり平均所得金額は86万8千円である。
一般世帯の1世帯当たり平均所得金額579万7千円、世帯人員1人当たり平均所得金額203万4千円、
高齢者世帯の1世帯当たり平均所得金額290万9千円、世帯人員1人当たり平均所得金額184万6千円
に比べ低い水準にとどまっている(厚生労働省大臣官房統計情報部「国民生活基礎調査」(平成16年)。

これによれば、母子家庭の世帯人員は2.56人だから、子ども1.56人か。

母子家庭の母の83.0%が就業しており、就業している者のうち常用雇用者が39.2%、臨時・パートは49.0%となっている。
平成17(2005)年における母子世帯の完全失業率は8.6%、前年の8.9%と比べ減少となったものの、一般世帯の完全失業率5.5%に比べ高い水準になっている(総務省統計局「労働力調査」)。

孤立する若い親たち

日常生活における相談相手の有無についてきいたところ、「なし」への回答が、母子世帯では2割以下であったのに対し、父子世帯では約半数に及んでいる。このようなことから、父子世帯に対しては特に、生活の孤立を防ぎ、安心して働けるよう、育児を含めた生活支援が必要である。

抜本的な子育て支援

親も孤立しているだろうが、子どもも健康が心配である。
母親にも働く場を提供すれば済むというのではなく、親と子と親子関係の健康を総合的にサポートする体制が必要だと思う。
やさしいレポートでした。

参考:平成18年度版母子家庭の母の就業の支援に関する年次報告
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/boshi/06/index.html
第1章  母子家庭をめぐる状況
 第1節  母子家庭の生活の状況
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/boshi/06/dl/02.pdf
第2章  生活支援に関する施策等
 第1節  母子家庭の生活支援に関する施策
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/boshi/06/dl/14.pdf