▼北欧の福祉社会 Work-life-balance

大和総研/コラム:全体最適の北欧・部分最適の日本

2006.06.29 情報基盤統括部 高橋正明 氏
http://www.dir.co.jp/publicity/column/060629.html
この記事は興味深かった。
北欧の施策を直輸入はできなかろうが、Work-life-balance を実現・保持するための「全体最適」化という思想・視点は日本の企業社会には欠けたものなのだろう。
それぞれの社会においてそのような思想が多かれ少なかれ受け容れられる文化・風潮について、または歴史についてもっと紹介されてよいと思う。
部分引用紹介。

日本人の常識では、税や社会保険料が重くなれば(国民負担率が高まれば)、社会の硬直化、経済活力や生活満足度の低下、政府不信の高まりが進むはずである。なぜ北欧は国民負担率が高いにもかかわらず、「豊かな社会」を実現できているのだろうか。

この理由は意外と単純で、働かない人を少なくする社会システムが整っているからである。個々人の事情に応じた労働環境を提供することで、誰もが働き続けることを可能にしている。みんなが働くから、一人当たりの労働負荷は減り、長時間労働や過労死とは無縁で、充実した家庭生活が可能になる。“Work-life-balance”が良好だから、男女とも育児に十分な時間が割け、少子化も進みにくい。日本は各企業が個別に効率化を進める「部分最適」なので、社会全体では「合成の誤謬」をおこし、結果的には非効率になってしまう。一方、北欧は社会全体での効率化を優先した「全体最適」なので、企業単位では非効率に見えても、社会全体では合成の誤謬が避けられているため、非常に効率的なのである。

一見すると高い国民負担率は、合成の誤謬を避けて豊かな生活を実現するための安い買い物(必要経費)といえる。

一方、日本は「自己責任」「小さな政府」など、部分最適を一段と強化する方向に向かっている。合成の誤謬を排して社会全体の効率性を高めるためには政府の適切な介入が不可欠なのだが、日本人は「政府の介入を減らせば減らすほど社会全体の効率性が高まる」という固定観念から抜け出せないようである。