求人倍率1.0だが景気は回復したか

 NHKの報道を見てると、求人倍率が1.0になったそうだ。職安(ハローワーク)は人影もまばら、企業群の説明会に訪れた青年男女(インタビューは女性ばかりだった)は、
 「ようやく私たちにもチャンスが広がったと思います」
 「たくさん(求人が)あって、選ぶのが大変」
だという(1/31)。ハローワーク職員も、職安の現場を見る限りでは景気が上向いてきた感じがすると言う。たしかに、放送された平成12年(2000年)のハローワークの画像は求職者で溢れかえっていたから、その実感はむべなるかな、である。
 どういうことか。
 厚生労働省の「一般職業紹介状況(平成17年12月分及び平成17年分)」の冒頭をそのまま引用すると以下の通り。

 平成17年12月の一般職業紹介状況をみると、有効求人倍率(季節調整値)は1.00倍となり、前月を0.01ポイント上回った。正社員有効求人倍率は0.65倍となり、前年同月を0.07ポイント上回った。
 12月の有効求人(季節調整値)は前月に比べ1.3%減となり、有効求職者(同)は2.3%減となった。
 12月の新規求人は前年同月と比較すると5.7%増となった。これを産業別にみると、前月に引き続き、医療,福祉(17.4%増)、飲食店,宿泊業(13.4%増)、製造業(7.1%増)、卸売・小売業(6.9%増)、運輸業(3.3%増)は増加となり、サービス業(1.6%減)は減少となった。建設業(8.5%増)、情報通信業(1.7%増)、教育,学習支援業(1.2%増)は減少から増加となった。
 都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)をみると、最も高いのが愛知県の1.61倍、最も低いのが沖縄県の0.41倍となった。

 しかも、「第2表 雇用形態別常用職業紹介状況」では、

正社員の有効求人倍率は正社員の月間有効求人数をパートタイムを除く常用の月間有効求職者数で除して算出しているが、パートタイムを除く常用の月間有効求職者数には派遣労働者契約社員を希望する者も含まれるため、厳密な意味での正社員有効求人倍率より低い値となる。

との註釈があるから、われわれ一般人が理解する正社員の募集はずいぶん少ない。

 NHKはこうした求人の内容については一切触れなかった(夕方)が、それでは情報が偏りすぎだと思う。
 青年にとって、失業者にとってまだまだ春は遠い。