▼青年の職業観、労働観

独立行政法人労働政策研究・研修機構 副主任研究員 中村良二さん
コラム 「次世代の目」2007/02/23
http://www.jil.go.jp/column/bn/colum071.htm

 ……働かないことが根本的に誤りとは思わない若者も少なくはない。
 ……大学での講義の際に、学生たちに接すると一つわかるのは、彼らの多くは、働くこと、企業、それを取り巻く仕組みについて、見事なくらい体系的知識がないということである。そうだからこそ、雇用流動化と聞けば、絶対安心?の公務員を目指し、ライバルと差異化を図るために、様々な資格取得に突っ走る。
 ……仕事をさせられるだけではなく、「育ててくれる」希望がなければ、仕事には取り組めない。親世代のリストラの現実も見た上で、仕事をすることによって自らがどのように育ってゆけるだろうかと、今はまだ外側からではあるが、彼ら(学生)は一生懸命考えている。
 ……企業訪問の際、採用担当者から聞いた話はすばらしいが、ちらりと垣間見たその企業の中年男性が疲れ果てているように見えたことに、相当なギャップを感じた学生がいた。この会社に入れば、こういうふうに「なれる」のではなくて、「なってしまう」のかと思ったという。

そうだろうな、と思う。自分もそうだったから。違うのは「《働かないこと》が根本的に《誤りではない》」とは思わなかった、つまり「人は働くべきだ」と強迫的に思っていたことくらいだ。しかしそれとて、大勢は今も同じであろう。希望しているのに、失業・就職できない・非正規雇用であるということの辛さは、統計や経済学では表現できないのに腹が立つ。


ただ、コラムでは「情報が溢れているのに肝心な情報が少ない」と言うけれど、それでも今はその気になれば容易に情報が手に入るし、実社会がどうかということは別にして、視野はうんと拡げることが容易であると思う。

例えば
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「キャリアマトリックス
http://cmx.vrsys.net/TOP/

勤労の権利・義務の教育

日本国憲法二十七条


第二十七条【労働の権利・義務、労働条件の基準、児童酷使の禁止】
1 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
とある。
しかし、このことでの教育を学校で受けた記憶はない。「就職どうするのか」、という脅迫だけである。

勤労の権利については憲法における下のことどもと関連させてよくよく考えられ・学ばれなければならないのではないか。
とりわけ、憲法25条との関連では、勤労を「単なる生活の糧」を得ることのにみ矮小化しないことが重要であろう(とは言え、現実には25条を個々の家計で実現することに汲々してしまう世帯が少なくないということも軽視できないが)。
ここでは、権利にかかわることだけを上の記事との関連で直感選択してみたが、憲法に言う「勤労の義務」についても重要ではないというわけではないと考えているので念のため。あまり憲法の勉強もしていないので、恥ずかしいけれど、後日学習ということで。


第十一条【基本的人権の享有と性質】
 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
十三条【個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重】
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十四条【法の下の平等、貴族制度の否認、栄典の限界】
1  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第十五条【公務員の選定罷免権、公務員の性質、普通選挙と秘密投票の保障】
1  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2  すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
第十八条【奴隷的拘束及び苦役からの自由】
 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第二十五条【生存権、国の生存権保障義務】
1  すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第二十七条【労働の権利・義務、労働条件の基準、児童酷使の禁止】
2  賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律(労働基準法)でこれを定める。
第二十八条【労働者の団結権・団体交渉権その他団体行動権
 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。