▼「希望の国、日本」の実現に向けて by 御手洗

希望の国、日本」の実現に向けて
内外情勢調査会における御手洗会長講演〜
2007年1月25日(木)

ビジョンでは、論点をあえて単純化し、やや刺激的と思われるかもしれませんが、一つの問いかけをしております。成長を何よりも重視するか、あるいは、弊害の是正に重きを置くか、という選択肢であります。われわれが目指すべきは、「成長重視」の選択であることは言うまでもございません。成長なくして国民生活の安心はありません。そのためには、日々の変化をいとうことなく、改革を加速させていかなければならないのであります。

もちろん、現実の問題は、常に二者択一のどちらかで割り切れるものではございません。たとえば、このところ格差の問題など、改革の弊害とされるものの是正を優先すべきだという声が、目立つようになっております。しかし、改革を中断してまで格差の是正をしようという考えをとったのでは、本末転倒になってしまいます。先ほども申し上げましたが、格差が生じる最大の原因は、経済が十分な成長を遂げられないことから来るのであります。いわゆる格差を是正するためにも、経済全体のパイを拡大させることが必要であります。
日本社会においては、これまで、ともすれば「結果の平等」が、重要視されすぎてきたきらいがあります。「結果の平等」にあまりに重きを置くあまり、いかなる格差も認めないということになれば、人々から挑戦の気概や意欲、やる気は失われ、社会を動かしていく活力は生まれてまいりません。