▼えひめ丸事件と愛媛県

ピーター・アーリンダー、薄井雅子『えひめ丸事件』新日本出版社 2006年1月を読んだ。

査問会議でも明らかになったように、原潜乗組員は一連の人為ミスを犯したが、米国はこの事件に対してほぼ十分な対応をしたといってよい。
ブッシュ大統領森喜朗首相に、ラムズフェルド国防長官は斉藤斗志二防衛庁長官に、パウエル国務長官河野洋平外相にそれぞれ直接電話で謝罪した。
ファロン米海軍作戦部次長(海軍大将)は森首相に謝罪と遺憾の意を伝えた。ファロン特使は二月二十八日に行方不明者の家族に面会し、直接謝罪した。
ワドル前艦長は三月十六日の査問会議終了後に「えひめ丸」の行方不明の家族らに対して直接謝罪……
米海軍は、えひめ丸の引き揚げに取り組むことを正式に発表した。六カ月という長期間と約五十億円という膨大な費用がかかると見積もられている。
今回の事件は日本に対する米国の悪意から起きたものではなく、人為ミスが積み重なった結果起こった不幸な事故である。
日本のマスコミは報道や論説の影響力の大きさや責任の重さを自覚し、日米関係全体を考慮しながら今回の事件が持つ意味を冷静かつ慎重に報道する姿勢が必要だ。
(査問会議とは、軍法会議や諸法廷未満の「会議」にすぎないので、稀にしか開かれない。詳細は冒頭の『えひめ丸事件』参照)


ようやく読む機会を得て、ウスラ読み。事件の経過その他は
アメリカには何も期待していないわたしなので、アメリカ海軍のトカゲの尻尾切り的な動きについては「ありそうなことだ」と思われた。
鬱陶しいのは、日本であり、愛媛県である。
これでは、犠牲者は浮かばれないな、というのが感想であった。

オール与党で形骸化する地方議会

阿部議員のHPを拝見すると、野党の少ない議会がいかに形骸化しているか、形骸化を維持するために少数会派の質問や意見をいかに排除しているか、よく伝わってくる。
たとえば、2001年 http://www.muse.dti.ne.jp/~hiroba/news7/yurusenaino7.htm

……予算については過去30年間討論がなかったのだ。
 まず、全国47都道府県中、過去の5回の議会で討論がなかったのは、愛媛県のほかに、奈良、広島、島根県の3県のみ。(議会事務局調べ)

 そこで私は昨9月議会で、……反対討論を申し出たが、「議会運営委員会」で「12月議会への課題とする」として否決された。

 さらに、12月議会でも、……討論を申し出たが認められなかった。

 議運の席上、私の反対討論を認めなかった理由は「議会の権威を守るため」「議会のルールになじまない」「52人がみな討論、議論するわけにはいかない」「一部のパフォーマンスになってはいけない」というものであった。愛媛県議会の横ならび主義・権威主義にはあきれてしまう。県議会のルールとは本来、議論を保障することにある。当り前のことが愛媛県では通用しない。

地方議会もよく見ていかないと、少数派の意見は封じられているし、多数派は意見を言わない、結局議会には何も残っていないという無駄な時間を累々と重ねていっていることになっているのだなぁ。