▼格差労働社会における労働者の意識は格差容認?

独立行政法人労働政策研究・研修機 2006.7.14
多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査(2005年12月)
http://www.jil.go.jp/institute/research/2006/025.htm
http://www.jil.go.jp/press/documents/20060714.pdfニュースリリース

これはプリントアウトして読んでみたい。データは昨年末だが、調査ご苦労様お疲れ様です。別に敬意をもって使っていれば、「ご苦労様です」で良いと思うのだが。「ご苦労。」だとえらそうだけど。


賃金格差がひらいた中で、アンケートに自分の賃金が高いと答えた者、低いと答えた者それぞれについて、格差社会をどう思っているかの質問をしているが、意外に格差容認派が多い。
この意識が各労働者家庭に持ち込まれれば、家庭でも格差競争に子どもがきっと巻き込まれているのだろうと思われる。
本文をよく読んで、追記・修正していきたい。


ダイジェストの引用

正社員の賃金決定要素として、「業績・成果」と「職務遂行能力」を以前よりも重視
−4割弱の正社員が、自分に対する会社の賃金の決め方に納得していないが、その理由として「仕事への努力が正しく評価されていない」ことを挙げている−

【正社員・非正社員の活用に関する事業所の考え方】
  • 半数近くの事業所が、3年前と比較して、非正社員の割合は「ほぼ同じ」としている。
  • 正社員の人数が「減少」したとする事業所の約4割、正社員の人数が「増加」したとする事業所の約3割で、非正社員の割合が「上昇している」。
  • 非正社員の割合が高まった影響として、人件費総額の削減効果について肯定する事業所は8割弱。
【企業の雇用管理と従業員の意識】

<賃金決定要素の変化と正社員の意識>

  • 正社員の賃金を決定する場合、その要素として、「業績・成果」と「職務遂行能力」について以前より重視するとする事業所は半数を超える。なお、半数近くの事業所では、引き続き「勤続・経験年数」、「学歴」、「年齢」を重視することに変わりはない。
  • 正社員が、会社の自分に対する賃金の決め方に「納得していない」とする割合(約4割)は、「納得している」とする割合(約2割)を上回る。「納得していない」理由としては、「仕事への努力が正しく評価されていないから」を挙げる割合が最も高い。一方、「納得している」理由としては、「自分の業績が正しく評価されているから」、次いで「仕事への努力が評価されているから」を挙げる割合が高い。

非正社員と正社員との賃金格差>

  • 正社員とほとんど同じ仕事をしている非正社員がいる、とする事業所は約6割。 一方、会社内に自分とほとんど同じ仕事をしている正社員がいる、とする非正社員は約5割。
  • 非正社員で、会社内で自分とほとんど同じ仕事をしている正社員と比較して、自分の時間当たり賃金が低いと認識している者は6割強。そのうち、6割弱は自分の賃金に「納得していない」と回答

社会全体の格差に関する認識

1 日本社会全体での所得格差に関する認識

それぞれ、解説p52、設問p86、結果p251 以降

Q24. 日本全体で所得格差は拡大していると思う
正社員 72.8 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
非正社員 66.0 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
管理的仕事 80.5 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
専門的・技術的 74.5 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
販売 70.3 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
運輸・通信 69.4 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
事務 69.1 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
技能・労務 66.4 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
保安・サービス 60.1 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

まずは、圧倒的多数の労働者が格差が拡大していると思っている。


所得格差が拡大していると考える自分の賃金は?
高い、もしくは平均より高い 79.2 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
平均くらい 70.4 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
低い、もしくは平均より低い 75.2 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
賃金の高低の自覚にかかわらず、格差は拡大していると考えている。



格差の拡大をどう思うか
正社員 認めるべき 40.0 |||||||||||||||||||||||||||||||||
認めるべきではない 13.1 ||||||||||
非正社員 肯定 24.8 ||||||||||||||||||||
否定 16.7 |||||||||||||
管理的 肯定 46.8 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
否定 12.4 ||||||||||
販売 肯定 45.5 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
否定 10.8 |||||||||
専門的・技術的 肯定 39.5 ||||||||||||||||||||||||||||||||
否定 13.4 |||||||||||
事務的 肯定 33.1 |||||||||||||||||||||||||||
否定 13.1 ||||||||||
保安・サーービス 肯定 25.6 |||||||||||||||||||||
否定 20.2 ||||||||||||||||
技能・労務 肯定 25.1 ||||||||||||||||||||
否定 18.2 |||||||||||||||
運輸・通信 肯定 25.0 ||||||||||||||||||||
否定 26.6 ||||||||||||||||||||||

一部を除いて格差の拡大を肯定視している調査結果である。


けふはここまで。