▼労働者の法的概念

労働政策研究報告書 No.67
「労働者」の法的概念に関する比較法研
平成18年10月13日
独立行政法人
労働政策研究・研修機構
「労働者」概念とは、労働基準法などの労働法の適用対象となるかどうかを法的に検討するものです。
サマリーの抜粋

1.比較法分析にみる「労働者」性の判断枠組

 各国とも、労働者性の主たる判断要素は使用者の就業者に対する指揮命令の有無である。この点、日本も同様の状況にある。

大陸法系諸国では、労働者と使用者は労働市場における対等なプレイヤーとしてとらえられていないので、労働市場の機能に全面的に委ねることとせず、法が市場に対して規制的な介入を行う必要があり、それがまさに法(労働保護法)の存在理由であるとするものである。したがって、そうした法の適用対象となるのは、従属的な状況で労務を提供する者ということになるのである。

 一方、アングロ・サクソン諸国は、基本的に従属労働というコンセプトをもたず、むしろ労働市場を市場として効率的に機能させるということを重視しており、個別的労働関係における法の目的も、市場に対する規制的介入を行うことではなく、主として市場の環境整備のためのルールを設定することとなる。!<--したがって、労働保護法の適用対象も、原則としてコモン・ロー上の概念に依拠して画定されており、労働法独自にその適用範囲の対象となる基準を定立しようとする動きが相対的に弱いといえる。-->

勉強。その他、

  • 職種別に保護されるべき「労働者」という概念が適用されているかの検討、
  • 保護内容と保護の性質……最低賃金、労働時間、有給休暇、安全衛生、労災、解雇などの比較検討

興味深い。