▼エコノミストの眼 三菱総研
「格差はあるが評価が難しい」
三菱総研の後藤康雄氏は2006.3.28『エコノミストの眼 様々ひろがる「格差」−地域、産業、企業規模』において
わが国の所得ジニ係数は上昇傾向にある。……所得格差の問題には価値判断を含め難しい論点があるため、慎重かつ幅広い議論が必要だが……いたずらに格差拡大に対する危機感をあおることは、本質を見誤る。……しかし、大竹教授らも認めているように、わが国に格差問題が存在しないというわけでは無い。若年層の格差拡大や、教育などを通じた世代間の格差固定化など、すでに確認されつつある現象も少なくない。これだけ国民の注目を集めるというのは、やはり何らかの実感を国民が持ち始めているのだろう。
しかしその評価は難しい。……そもそもこれらの政策の“妥当な水準”がつかめない限り、政策変更に由来する格差の拡大の是非も評価できない。
と述べた。格差を貧困の問題と捉える三歩手前で立ち止まって「難しい」と。
アベ政権にも一層の格差拡大を期待
そして、『2006.9.22 エコノミストの眼 新政権に期待するもの』ではこう述べた。
以上の財政再建を進めていく過程で、どうしても議論せざるを得ないテーマとして、消費税率引き上げが挙げられる。これは、「上げるか上げないか」とか「何%引き上げるか」といった視点だけで語れるものではない。おそらく引き上げ自体は、早晩避けられないだろう。大方の国民もその点は理解していると思う。
……
経済成長率が上向けば、税収の増加により財政再建に資するほか、それ自体が国民生活水準の向上につながる。……しかし、成長率の向上は……こと政策という面では、やはり規制緩和がポイントとなろう。小泉政権下で、規制改革・民間開放推進会議が進めてきた規制改革を、さらに広げていくべきである。
……
少子高齢化による労働力の減退が経済成長のネックになるのであれば、移民政策を真剣に検討して然るべきである。