▼総括なき「再チャレンジ」……

みずほ情報総研 < コラム > 「再チャレンジ」できる社会
http://www.mizuho-ir.co.jp/column/shakai060829.html

もと大リーガーのゲイル・ホプキンス選手は、33本塁打、91打点という成績を残し、広島の初優勝に貢献、30代半ばで現役を引退したホプキンス氏は、米国に戻って医科大学を卒業し、外科医となった。そして60歳で転身し、ミッション系大学で聖書学を教え始めたという。

今や雇用者の3人に1人は非正規社員という時代になった。非正規社員の場合、正規社員に比べて職業能力を開発する機会に恵まれないという問題がある。非正規社員の中には、子育てのために労働市場から長期離脱した人や、卒業後すぐにフリーターなった人がいる。こうした人々が再チャレンジをするには、職業能力開発の機会が必要だ。
他方で、正規社員にとっての課題は、キャリア形成に向けて自己投資しようにも、時間の確保が難しいという点である。日本では、週60時間以上働く男性雇用者(非農林業)の割合が現在2割弱居り、特に35〜39歳では、4人に1人が週60時間以上働いている。長時間労働が常態化した職場では、自己投資の時間が不足しがちだ。

こうした中、正規社員の「再チャレンジ」に必要なのは、ワークライフバランスの実現であろう。日本では、ワークライフバランスは専ら子育て支援の側面から議論されているが、欧米では修士号取得などスキルアップにも活用されている。


何歳であっても、どのような経歴であろうとも「再チャレンジ」できる社会は、多くの人々に希望を与える。日本でも「再チャレンジ」に向けた環境整備がより一層重要になってくるだろう。

サラリーマンにとっての「再チャレンジ」を現時点で考えると同意できる部分もある。引用部分は概ね共感する。早急に条件を整備して欲しい。
しかし、コラム冒頭のプロ野球選手はどちらかというと特殊な例であろうし、何より「再チャレンジ」を余儀なくされる境遇に陥れた要因について無反省なところはいただけない。

人は会社や事業のために生きているのではない

また、正規社員でも非正規社員でも会社のために生きているのではないし、雇用や給与のランクアップに資する研修やスキルアップだけが人生に必要というわけでもない。
確かに、サラリーマンが会社をクビになれば路頭に迷うし、子どもに勉学の機会も条件も与えられないどころか、単に健康を維持することすら困難になろう。クビにならないよう・事業に失敗しないよう緊張にさらされる毎日だ。
しかし、そしてだからこそ会社に気に入られなければ・事業に役立たねば生活できない・意味がない・意義がないという資本に媚びた「再チャレンジ」なんて勧奨されたくないというのも読後の実感である。