ピエール・ブルデュー読んでみました

ブルデュー『市場独裁主義批判』藤原書店 2000年
この本は1995年から98年までの間に発表された短評やインタビューを撰じたものである。
政治・思潮的には新自由主義の虚構性を暴きながら、それが経済の名の下に社会と福祉と生活とを破壊してきたことを批判している。しかし、主題はむしろ知識人論・マスコミ批判であるようだ。

 いたるところで、朝から晩まで同じことを繰り返す──支配的な言説はこうして力を持つことになるのですが──いま私たちがのべつ幕なしにきかされている言説は「ネオ・リベラルしそうに対峙させうるものは何もない」「ネノオ・リベラル思想は自明的であり、それに対するオールタナティブはありえない」ということです。ネオ・リベラル思想がこのように当たり前のことになってしまったのは、一貫して象徴的刷り込みが行われたからで〔ある。ありとあらゆるマスコミ・新聞を通じて一部の知識人・ジャーナリストが毎日毎日・毎時毎時、このようなことを宣伝しているのである〕。
 ……このような象徴的点滴注射は深甚な効果を発揮します。その結果、ネオ・リベラリズムは不可避的なものと見なされるに至るのです。

目新しかったのが「アナウンス効果」というコトバ。

大臣たちにとって、どんな政策も公表されない限り価値がありません。しかも、公表したらもう実現したも同然ということになっています。

加藤晴久氏の訳注

effets d'annonce は、たとえば実体の無い、実行されない政策を派手に公表することによって得られる効果。文化相を務めたジャック・ランクがよく使ったとされる。

ディスタンクシオン』を買う金が無いので、図書館で借りようと思っています。