▼ささくれ立つモラル/市場原理の徹底による一億総「お客様」化

こうして見てくると、労働力や財、サービスが商品であること、人格が商品であること、生活が消費であること、人生が消費であることがむき出しになればなるほど、無視されることが常の「ルール」が表に出て「モラル」は後景に退き、ルールの実態は「力」=貨幣であることが公然となる。


ああ、市場原理の徹底とは人間過程の全てが販売されており・購買されねばならず、誰もが「お客様」であることを強要されることなのだなぁ。
「お客様」は「持たざるもの」であるから「お客様」であり、「お客様」からさまざまな人間関係を奪えば奪うほど「お客様」は買わねばならないものが増える。「お客様」が知識やアドバイス、癒し、健康などの人間関係に基づく新しい「サービス」を買えば買うほど古い人間関係は廃れていく(ということもある)。


農産物の輸入自由化、労働者保護のための規制の撤廃、若年労働者の使い捨て化、労使協調主義の横行・リストラ、従来非営利とされてきた医療・福祉の商品化、自己負担の増大、保険外の自由化、公教育の貧困化(=私学や進学塾の相対的な浮上)などなどが、モラル低下の大きな(全てだとは言わないが)要因であると言えるのではないか。
叩き落しておいて再チャレンジだとか、努力すれば報われるとか、友だちに言われるならまだしも、逮捕者にこと欠かぬような為政者たちに言われると、自分の中の「モラル」がささくれ立ってくるようだ。