▼愛国者、ダニエル・バレンボイムのことなど

拙文「愛国心教育について」と少し関連して、有名人の記事の紹介。

江川紹子
江川紹子ジャーナル「愛国心を考える」06/05/02

指揮者でありピアニストであるダニエル・バレンボイムが2004年に、ヴォルフ賞を受賞した。
その受賞のスピーチで、彼はイスラエルの独立宣言の次の部分を読み上げた。

イスラエル国は、……この独立宣言に署名する者は、平和のために尽くし、隣接する国々やその国民と友好的な関係を結ぶよう尽力することを誓う

「他の国を占領し、そこに住む人々を支配する行為は、この独立宣言に馴染むのだろうか、……私は常に、この紛争を軍事的に解決することは不可能だと確信しています。倫理的に、あるいは戦略的に解決することも、無理でしょう。」

元国連の大量破壊兵器の査察官だったアメリカ人スコット・リッター
彼は、イラク国内の大量破壊兵器は前回の査察によって処分され、ほとんどないに等しいことを、自分の経験や具体的なデータをもとに明らかにしていた。
 今回のイラクに対する攻撃の前、彼は、イラク国内の大量破壊兵器は前回の査察によって処分され、ほとんどないに等しいことを、自分の経験や具体的なデータをもとに明らかにしていた。本を書き、講演を行い、取材に応じ、大量破壊兵器の除去を理由に戦争を起こすのは間違いであると指摘し続けた。
 そうした彼の言動に対し、彼を裏切り者扱いするような非難や脅しもずいぶんあったらしい。しかし、彼は国を愛するがゆえに、真実を伝え、祖国が間違った行動を取らないように努力するのだ、と強調していた。

「反政府的」な言動は、……「反国家的」と決めつけられやすい。

靖国神社への参拝を「心の問題」として、外からあれこれ言うべきではない、とする人たちが、なぜ、「祖国への思い」は、1人ひとりの「心の問題」とせずに、学校現場で「愛国心」として一斉に教え込まねば気が済まないのか。