老後の保障はギャンブルで

ついでに最新の資料を覗いていたら、「投資家と社会に望ましい金融・資本市場の構築を」という文章が出ていた。
https://www5.jpc-sed.or.jp/files00.nsf/276697182031a3fd4925672c001a56da/10b2dc7b98d009444925710800235bcd?OpenDocument
ここでいう社会とは「少子・高齢社会」であるが、少子・高齢社会に求められる政策は、預金してカネを貯めこんでいると銀行が倒産したり、目減りしたり課税したりされてしまうので投資したり金融商品をかったりするしかないような社会が良いというのだ。いわば投機社会にしてしまえというのである。
なぜ、これが少子・高齢社会にとって良いことなのか。長期化する老後を就労所得だけによる蓄えと年金だけで生きていけない。だから今から金融資産を形成しておけということらしい。
そうした行動に導くためには、投資に関する税の優遇や「安易な預金保護」の完全撤廃が必要なのだという。また小学校時代から株の買い方を教えておけということだ。国民の6割以上が株取引などしないというアンケートにいらだっているのかもしれない。それにしてもどうして多くの国民が投資や金融取引(しかも配当目当てというよりはキャピタルゲインや不安定な利ザヤ目当て)で老後を暮らせるというのか。

さて、青年にとって(青年のみならず)これは人生観の転換が迫られる。いくら働いても人口が増えるほどの子どもを産み育てる給料はもらえないし、社会からの援助もない。子どもは子どもで自分のことでピーピーだし、親たる老人を「世代間不公平」などと言って白眼視する。年金も安心できるどころか生活すらままならぬほどしかもらえない。ちょっとでも年金保険料の滞納があれば大幅減額だ。宝くじか株か、先物取引かをボケるまでやり続けなければ生きていけないギャンブル人生だ。これではまじめに働く意味が、まじめに働く人生が馬鹿馬鹿しく思えてくる。