▼みんなの党が躍進して、共産党が後退した理由

この発表に応じて、誰もが思ってそうなことをメモしておく。

今回の選挙戦について、政治論戦、組織活動などあらゆる面で、どこにただすべき問題点があるか、前進のために何が必要かについて、党内外の方々のご意見・ご批判に真摯に耳を傾け、掘り下げた自己検討をおこなう決意です。

http://www.jcp.or.jp/seisaku/2010_1/20100712_sanin_kekka.html


まず、土壌として、その正否はともかく

  • リーマンショック以来、不況で失業も増えていて、日本は国際競争に負けている。
  • 消費税は上がるのはいやだが、いずれは避けられない
  • 行政には無駄が多すぎる
  • (地方は衰退してきているし、社会保障も不十分である)
  • 民主党には失望した(それが政治資金疑惑だったか、沖縄だったかはどうでもよい、なんとなくだが、たしかに失望した)


みんなの党の渡辺代表のイメージは、行政の無駄を削ごうとしたが、旧態依然の自民党と衝突して果たせず離党した。
民主党の菅代表が「消費税10パーセント」をぶち上げたとき、渡辺氏が「消費税を上げる前にやることがある」というのは充分分かりやすく有権者の気持ちをつかんだと思う。
それに対して、共産党が「消費税上げるな」と言うとき、それは「ムリ」な空論であるように空疎に響いた。また、大企業の内部留保や優遇税制を当てにして、そこから徴税すべきと言ったとき、それは「この不況の時に、国際的に負けてきているときに、共産党は(われわれが思っている)経済のことがわかっていない」、あるいは「ムリ・無茶を主張している」と取られたのではないか。



沖縄問題はどうだっただろうか。沖縄県内で基地を移設することには誰もが反対だろう。そこで、アメリカにきっちりモノを言うことを国民は求めていたかというと、あまりそうではなかったのではないか。なぜなら、多くの国民は「安保がなければ国が滅ぶ」くらいの勢いで安保を信じている人が多いから。
だから、アメリカにどうどうとモノを言え、というのも「ムリ・ムチャ」な話で、むしろ選挙中はあまり何も言わないほうが良かったのかもしれない。
みんなの党は地方に財源を移して云々、という柱があったが、共産党の「国による地方政策」は思いつかない。「道州制に(なぜか)反対」くらいだ。



結局、菅総理が消費税10パーセントをぶち上げたことが、みんなの党については「何かやってくれそう」、共産党については「できないことを言う」というイメージを強めたのではなかろうか。
政治に不満を持ち、消費税増税いずれはやむなしと思っている人が、「増税の前にやることがある、行政の無駄を削ぐべきだ」という渡辺氏と、「消費税を上げずに大企業からもっと取ればよい」という志位氏とをどちらを現実的な政治家として選ぶかというと、渡辺氏に決まっている。



どういうことか。マスコミのキャンペーンと、有権者の心理に噛み合った戦いにならず、念仏を唱えた、という面があったのではないかと僕は思う。
「しんぶん」を読んでると、今にも日本が変わりそうな勢いだが、「しんぶん」ではなく「新聞」を読んでいる人たちの気持ちとは全然ずれてしまっているのに、時々ひどく驚いてしまうことがある。
他党に投票した有権者(投票しなかった人のことは別)の心理と「しんぶん」の調子とは全然噛み合っていないのだと思う。