▼単一のイメージが作れない重層格差国家「中国」

中国を知れば知るほど、好意と嫌悪と驚愕と困惑と……でも以前から全体としては挽回困難なマイナス情報が多すぎ。


世界ビックリニュース[ 2006年12月01日 13時19分 ] より
http://www.excite.co.jp/News/odd/00081164946802.html

中国の刑務所で孔子の講座

[北京 30日 ロイター] 中国北部吉林省の刑務所で服役囚を正しい道へ導くために孔子の教えを採用しているそうだ。北京新報が30日報じた。

省都長春長春北郊監獄所長は「中国伝統の文化を研究することで、服役囚が美徳を磨き、よい行いを身につけるのに役立ちます」と語った。

フランス革命を準備した孔子(天命思想)

中村静治『「資本論」と「論語」』信山社、1996年 によれば(今手許に現物ないのでうろ覚え)、市民革命前のヨーロッパ、フランスでは中国思想、とりわけ天命・革命思想が啓蒙思想家によって翻訳・普及されていたそうだ。それが絶対王制を破棄し、共和国を樹立する市民革命の思想的準備となったそうである。
だから、上の監獄でも、囚人たちの中には上下関係や「礼」「仁」だけではなく、「人民に支持されない政府は革命によって転覆される」という革命思想として受け取る者も要るかも知れない、ネ。

二元国家中国

独立行政法人 労働政策研究・研修機構
コラム>中国 「格差」 事情(06.11.30) 国際研究部 主任調査員 野村かすみ さん
http://www.jil.go.jp/column/bn/colum066.htm
より抜粋

「中国の平均賃金を教えてください」という内容の問い合わせを受けた。……正確に回答することが非常に難しい。

中国が抱える「格差」の問題

正確に回答することを難しくしている理由の一つには、中国国内「格差」の問題がある。

中国では、都市と農村で、いわゆる「二元化社会」がまだ存在している。

1957年制定の条例により国民は「都市戸籍」と「農村戸籍」に分けられ、移動の自由が制限されてきた。都市戸籍者と農村戸籍者との 2つの分断された社会を形成する。1980年代からこの分断された社会での格差が指摘されている。都市戸籍者は、国が提供する計画的な食料の供給、統一的な就職、就職配置政策、医療保険制度などの社会保険制度、住宅供給などの福利厚生を享受することができるが、農村戸籍者にはそのような便宜がない。しかし、これも戸籍制度の改革により近年解消されつつある。

2004年末の中国全体の就業人口は 7億 5,200万人だが、このうち都市労働者は約 2億6千万人、農村労働者は 4億 9万人と都市労働者の 2倍がまだ農村労働者なのである。

平均賃金に話を戻すと、政府の統計では、

  • 全産業平均では、年間 1万 6,000元(日本円で約 22万円)だが、産業別にみると、
  • 情報通信産業は年間 3万 5,000元(日本円で約 50万円)、
  • 農林牧畜は年間 7,000元(日本円で約 9万 8,000円)と大きな開きがあることがわかる。

農民工の多くの人々は、省・県レベルで決められる最低賃金で雇われているが、最も金額が高いといわれる広東省深市の場合には毎月 810元(日本円で 1万円強)であることから、農村部で農林牧畜業に従事するよりは、都市部へ出稼ぎに行く方が若干多くの収入を得ることができることになる。

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ところで、「格差」については、農村と都市の「二元化社会」からくる格差の問題にとどまらず、親の所得の違いからくる若者の問題も最近深刻なものとなりつつある。
(以下も略)