ファスト風土を貪り食う

三浦展氏の「検証・地方がヘンだ!―地方がファスト風土化し、液状化している! 洋泉社MOOK―シリーズStartLine」を購入。読みたいものは基本的に購入して風呂と便所で読んでいます。
これまで、こうしたテーマのことにあまり興味は無かった。たしかに、どこにいっても同じ郊外・同じサラ金の看板、同じジャスコだ。寂寥感・荒涼感だけを野放しにしてきた私であるが、犯罪と結びつけて説明されると、なるほど怖くなってしまう。
三浦氏の書籍や論については、

  1. 自らが消費社会を煽ってきたことへの言及や反省が無い
  2. 問題点を挙げるばかりで、対案を示さないので批判になっていない
  3. データの扱い方や結論付け方が強引。牽強付会

とか色々批判があるようですが、私は社会学系初心者だし、うまく事象を説明しているように思えるし、新鮮な感じがします。三浦教の信者になってしまいそう。今はすごく面白いです。

どうしてサラ金無人店舗が多いのか

どうしてサラ金無人店舗が、しかも田舎であっても多いのだろうか。採算は取れているのだろうか。誰がカネを借りるのだろうか。何に使うのだろうか。不思議だった。
本書を読んで、少しわかった。一つには、「消費天国が心をカラッポにさせる!──東京を逆転するほどまでに豊かになった地方。しかし、それは「消費しかできない」者を生んでいる!」で地方のほうが家計消費支出が大きいことが要因であるとのこと。もうひとつは「パラサイトシングル」や「希望格差社会」で著名な山田昌弘氏へのインタビュー。

〔公立の小学校に通わせるにも、給食費とかカネがかかる。奇しくも赤旗構造改革はいま」という連載で就学援助について取上げている〕……
 地方では車が必須インフラとなっていますよね。車と携帯のある生活が捨てられない人は、今の生活が成り立たなくなったときはサラ金で借りることになり、いずれ破綻していきますね。
──確かに地方に行くとサラ金の看板は目立ちますね。

なるほど。携帯は捨てられるけど、クルマは捨てられないだろうな、地方では。

マルクス主義の消費社会論獲得

マルクス主義は消費社会論を獲得できないのか。生活過程論か。イデオロギー論なのか。疎外論なのか。物象化論なのか。
どうして日本のマルクス経済学はその対象たる「生きた人間の生活過程」に「消費社会」を見出せなかったのか。それとも文字通り非専門家たる私の「管見」にすぎないのか。