▼冬の遊び──佐世保ゴマ(独楽)

♪もーいくつ ねーるーとー
 おーしょーおーがーつー
 おしょおがつには たこあげて
 こぉまをまわして あそびましょ

冬の遊びと言えば、コマやったばいね。


      
これが佐世保コマ。


     
佐世保コマのケン。
いずれも、下の「参考」サイトから。

参考:
http://www.rakuten.co.jp/hanabi/550322/550332/ (上の画像掲載)
http://www.nagasaki-cci.or.jp/tokusan/sase2.html (掛け声など)
http://www.rakuten.ne.jp/gold/hanabi/mawasi.htm (ヒモの巻き方)


私の幼児期・少年期の頃は、凧揚げもやったが、売っているのは奴凧ばかりで、どうやってもクルクルまわって揚がらずじまい。小遣いの無駄遣いになってっていた。
こまと言えば「佐世保こま」だが、単に「コマ」と呼ぶ。
 「コマば回そうで」
 「コマば回さんや?」
 「コマしようで」
5円か、10円かだと、ケン(剣・芯)も木製で遊べないが、30円出すとケンが鉄で出来とって、一応遊べる。1960年代は10円で遊べるコマが買えたかも知れぬ。50円くらい出すと、小学校中学年の手に馴染む大きさで、持った感触だと野球ボールくらいか。
これにヒモをケンの方から巻いていく。巻けるだけ巻くのは初心者で、二三回だけ巻いて回して見せたりする。たいていは7回とか5回とか或いは自由とかルールを決める。沢山巻いてもコマはうまく回らない。しっかり強く巻く。

遊び方だが、

数の子どもで遊ぶ。
まず、
「いきながしょーぶん(しょうもん)・しょーぉくーらーべ」(「生長(息長?)性分、〔根〕性比べ」?もしくは「息長勝間勝競べ」)の掛け声で、一斉に回す。
回すのは固めの土の上である。始めは回っているコマに打ち下ろすような回し方はしない。
止まった順番を覚えておく。

回し方は、

 「引き回し」
 「投げ回し」
 「落とし回し」
などがある。
「引き回し」とは右手親指と人差し指(と中指)にコマを挟むように持ち(或いは親指をコマの上部に置き)、薬指と小指でヒモの端を持ち、コマを勢い良く水平に差し出すようにしてすばやくヒモを引いて回転を与える回し方である。「女回し」とも言い「女のごたる」と言われる。初心者的手技である。多分ベーゴマと同じ回し方である。
「引き回し」でない回し方の名称はさまざまであるが、ケンを下にして振りかぶって地面もしくは相手の回っているコマの頭頂部に叩きつけるように振り下ろす。このとき、持ち手は親指と中指でコマを挟み、中指はコマの頭頂部に添えておく。気持ちとしては相手のコマを割る勢いで叩きつける。そのための鉄製の「ケン」なのだから。
熟練すると2・3メートル先の目標地点に叩きつけて回すことも出来る。
また、コマを回すヒモで回っているコマのケンの部分を叩いて、回転を与え続けることもルールによっては許される。
なお、ヒモの先端を結んでコブにしたり、輪にしたりということはわれわれはしなかった。

喧嘩コマ

われわれは喧嘩コマとは呼ばない。単に「コマば回す」である。
さて、「いきながしょうぶんしょうくらべ」で早く止まったものから回す。
次に、次に止まったものが、回っているそのコマめがけて打ち下ろすように回す。当たれば当てられたコマは弾き飛ばされ、時にはすぐに止まってしまう。また彼のコマは「ドンケツ」で次回に最初に回さねばならぬ。稀には割れてしまうこともある。割られたり弾き飛ばされたりして泣くような子は小学校1年生までである。割られても泣かない。割った方の強いコマを賞賛すること。
 「また、買ってくるけん!」
こうして次々に弱いコマに激しく突き刺すように・打ち割るように回して、最後まで回っていたコマが次回も最後に回ることになる。
これを繰り返す。
強い・硬いコマを作るために、頭頂部に画鋲をさしてみたり、ケンに焼きを入れてみたり、ドブで磨いたり、油につけてみたり、目の細かいドロを擦り込んでみたりして「精悍」なコマを作る。


高額な郷土玩具となった佐世保コマ

もう、小学校高学年になると、昔高くても50円だったコマが200円、500円となり、近所の「島田のみせ」「上田のみせ」「農協ストアの横のみせ」では売られなくなった。「おもちゃ屋」とか「玉屋デパート」とかに行かねば売ってなく、誰も所持しなくなった。
第一高くて買えないし、買っても喧嘩ゴマでボコボコの傷だらけになるのがもったいないのだ。
こうして誰もコマで遊ばなくなったのだ。