青年の課題

家計経済研究所の『若年世代の現在と未来』によれば、青年の直面する課題は
 就職(経済生活の自立)
 結婚・家庭を持つこと
である。
http://www.kakeiken.or.jp/research/jakunen.html
 (公表されているのは出版物の目次だけです。)
 そして、ここには言及されないが政治的・思想的自立も大きな・本質的な課題である。
 心理学的にやわらか言い直しをすれば、「価値観の確立」であろうか。

新自由主義の時代に

 新自由主義の嵐の現代における青年の課題とは何か。
 結局、極端な資本主義たる新自由主義、そして資本主義の歴史性を踏まえ、これらを超克していくことではないか。

唯物論の新人類獲得

鰺坂真『21世紀にはばたく 青年の生きがい』1990年 清風堂書店

1990年に出された鰺坂氏の「二一世紀に生きる未来の青年」という章は、本書の最も魅力のない章である。哲学上のポレミークな話題のほうがよほど面白い。この「未来の青年」は以下のような要旨である。

1.現代青年をとりまく問題状況
マスコミが垂れ流す「新人類」だの「スキゾキッズ」などの青年論は青年の未来を映さない。
2.現代青年論の方法論的課題(科学性の確保)

  1. 事実に即せ
  2. 歴史的視点が必要
  3. 国際的視野(他国と国際的な情勢や趨勢を無視するな)

[ちょっとお題目的、70年代風]

3.現代青年の実像と問題点

  • 70年代後半から80年代中葉までに青年は保守化した。
  • しかし実像としては政治不信に基づく無関心の増大ではないか
  • 青年労働者は企業の管理下におかれ、長時間労働を強いられ、組合は青年の要求に応えない。だから組合離れの現象もみられる。
  • そこで青年は「私生活中心主義」にならざるをえない。
  • ただし、「保守化」と「私生活主義」とは区別すべきである。青年は「リッチ」になったから現状肯定派として「保守」化したわけではない。
  • 高校生・大学生は、学歴社会の中で人類的な諸価値(ヒューマニズムなど)に瀬を向けつっぱったり、ニヒリズムになったりしている者がいる。

4.マスコミの描く青年増の歪み

  • 60年代末〜70年代初頭:三無主義、モラトリアム人間など青年に対する否定的評価
  • 80年代:「スキゾキッズ」(「新人類」論の先駆け)
  • 85年〜:「新人類」で文化論的アプローチ

これら、特に「新人類」論は消費文化の表層のみを取り扱っており、青年論としては「欠陥がある」。[あたりまえだ、というか始めから「科学的」青年論など意図していない。消費者としてのそれを描くのが目的なのだ。]
「新人類」の歴史的・社会的諸条件を無視すれば単なる風俗現象論となる。旧世代との差異の根拠を見るためには、歴史的に位置づけねばならぬ。例えば、自己表現(それが消費であろうと)の要求は戦後民主主義の一つの到達である。

5.未来の青年を考える現実的諸前提
一部マスコミが言うように、社会豊かになったから青年が保守化したのではない。
 (1) 政治と労働運動の右傾化、生活の企業管理により、保守化現象が起こっているのだ
 (2) 労働組合・労働運動が「たたかわない」ようになっちってる。が、がんばれ?
 (3) 労働者の高学歴化は労働者を賢くする。が、少子化は青年たちの成育に不利になっていくだろう。
 (4) 女性の解放、男女平等の徹底に伴い、家庭やなんかが変化するぞ。
[あぁ、よーわからんが、「新人類」論にはこうした視点が欠けているっていうこと。]

80年代〜90年代以降に唯物論が青年を獲得できなかったのも無理はないという感じだ。残念。

家計経済研究所

目的 : 私たちは若年女性の生活実態を、収入・支出・貯蓄、就業行動、家族関係などの諸側面から明らかにしようと考えています。
内容 : 経年項目として生活変動や就業形態、家計収入・支出・貯蓄、家計管理タイプ、消費者信用、生活時間、耐久消費財の取得状況、生活意識などが、隔年項目として心理状態が調査票に組み込まれています。さらに、トピックス項目として減税と趣味娯楽が、価格破壊、民法改正・納税者意識等が組み込まれている年度もあります。
(ただし、引用者による抜粋)

とのことである。
調査結果をWeb上、閲覧することはできるが、研究論文はWeb上は公表されていない。また、調査結果もWeb上閲覧することはできない。
ただし、記者発表資料はPDFで見ることができる。
http://www.kakeiken.or.jp/press/

労働政策研究・研修機構

http://db.jil.go.jp/
ここのデータベースは使いやすい。人口・雇用・失業、賃金、争議、その他のデータがhtmlのみならずエクセルで・見たいように抽出してダウンロードできる。
http://db.jil.go.jp/welcome
また、職業データベースは多くの職業についての解説が掲載されている。
その他、労働問題Q&A、個別労働関係紛争判例集など。